衆議院選挙の結果が15日に発表された。予想通り、安倍晋三首相が率いる自民党は大勝を収めた。
自民党の圧勝の裏には選挙制度の欠陥、政党政治制度と世論環境の悪化、国民の「安倍政権」に対する危機感の欠如など、複雑な理由がある。中でも、この2年間の安倍氏の「奇術」は欠くことのできない役割を果たしている。
「アベノミクス」は安倍氏の「奇術」の代表作であり、安倍氏自らが今回の選挙を「アベノミクス解散」にしたほどである。しかし、アベノミクスは表向きはきれいで、その核心となる株式市場は右肩上がりであるが、日本経済の衰退をごまかしきれていない。
日本円で計算すると、アベノミクスによる日本の実質成長率は2年間でわずか1.5%の伸びである。それに対して、猛烈な攻撃を受けた民主党政権は金融危機、震災や原発事故などの災いに見舞われていたが、3年間の実質成長率は5%以上である。米ドルで換算すると、アベノミクスの実績はさらに見るに耐えないものである。国際通貨基金(IMF)は、日本経済は2013年に17.5%低下し、2014年にはさらに2.6%低下すると予想した。つまり、この2年間で日本の名目成長率はメキシコの経済規模に相当する1兆2000億ドル減ったことになる。
アベノミクスという数字の奇術だけでなく、安倍氏とその周りの人間は文字の奇術にも長けている。「侵略の定義は決まっていない」、「狭義の強制性」をめぐる慰安婦問題、集団的自衛権は専守防衛と矛盾していない、また最近の「在日特権を許さない市民の会の活動も当然表現の自由の範疇である」など、さまざまな「奇説」がある。これらの「奇説」は、「安倍式の日本語」は確立された日本語の文法を内側から壊したとも揶揄されている。
国際舞台での安倍氏の「奇術」には詐欺に近いものもある。安倍氏は東京五輪招致のスピーチで、汚染水は完全にブロックしていると発言した。実際は、汚染水の制御施設は問題だらけで、汚染水を再び排出することについて原子力規制委員会は議論を交わしている。また、「河野談話」を受け継ぐと安倍政権は表明したが、自民党公約には「虚偽に基づいた根拠のない非難については断固として反論し、日本の名誉を回復する」と書き、その中では引き続き「慰安婦の強制連行などの事実を否定する」ともほのめかしている。
衆院選の勝利で新たな政治力が安倍政権に注がれた。日本の動向と国際社会における位置づけに関する憲法改正を議題に上げられるだろう。「日本奪還」という願望を実現するため、安倍氏が国内外でも新たな「奇術」で注目を集めることが予想される。
「奇術」のボロが出たとき、奇術師の安倍氏が待ち受けているのは「ブーイング」にほかならない。
「チャイナネット」2014年12月16日