日中両国は「一衣帯水」の隣国同士であり、両国関係の平和的な発展は、双方にとって良いことだ。しかし、現状を見ると、日中関係が友好的な方向へ歩んでいるとは言いがたい。ここ数年、日本の政治の右傾化が加速し、一部右翼が中国の脅威を強調している。安倍首相が率いる自民党が先の衆議院総選挙で再び勝利を収めたことは、右傾化の道が一定の民意に基づいていることを示している。実際、日本国内では「嫌中」ムードが高まっており、中国のことをよく知らない一部の日本人は中国を「理解し難い」、さらには「危険な」国だと見ている。なぜ日本には、このような「嫌中」ムードが広まっているのか?これには、3つの要因が考えられる。(文:在中日本人学者・山崎忠信)
1.日本は未だに冷戦思考が取り除かれていない
日本は戦後米国の影響を受けてきたため、自分たちを西側陣営の一員だと思っている。冷戦が終結したとはいえ、日本の冷戦思考や反共思想が依然残っている。
2.日本の優越感の揺らぎ
アジアで最初に工業化を実現し、経済強国となった日本人の心の中には、「日本こそがアジアの大国だ」という意識が非常に強い。しかし、「失われた10年」後の日本経済の停滞や中国経済の急速な発展が日本の優越感を揺るがし、脅威を与えた。
3.日本人の空気を読む文化
日本には「集団主義」の文化がある。小さい頃から集団内の友好的な雰囲気を壊さないようにと教育される。現在、日本国内には、「嫌中」の声が多いが、中国を理解し、客観的に見ている人もいる。しかし、日本人は雰囲気を重視し、空気を読むため、客観的な見方を積極的に表さない。また、もし表したとしても、無視をされたり、埋もれてしまったりする。これが、日本の中国に対する偏見がずっと消えない要因となっている。
日本国内の「嫌中」ムードを解消するために、まずやるべきことは、日本人の中国の政治体制やイデオロギーに対する誤解を解くことだ。前述した通り、多くの日本人は共産党と社会主義国への偏見が取り除かれておらず、よく知らないまま共産党政権では民主主義が行われていないと考えている。さらには、朝鮮のような国だと思っている人もいる。実際は、社会主義のモデルは一つではなく、多様性を備えている。現在の中国はすでに独特な社会主義理論を構築している。国際社会全体が「平和と発展」の時代に入っており、中国も時代の潮流を踏まえて平和的に発展している。