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アベノミクスで日本社会の格差が拡大

人民網日本語版 2014年12月19日16:29

厚生労働省がこのほど発表したデータによると、今年9月現在の生活保護受給世帯は161万世帯で過去最多となった。野村総合研究所の研究結果によると、日本で1億円以上の金融資産を持つ「富裕層」は初めて100万世帯を突破した。アベノミクスの実施から2年が経過するが、日本社会の貧富の格差が拡大を続けている。人民日報が伝えた。

野村総合研究所と日銀所属の金融広報中央委員会が発表したこの研究結果によると、2013年の富裕層は安倍首相が就任する前の2011年より24.3%増加し、世帯全体の2%を占めた。資産増加の主因は、富裕層が保有する株および投資信託の値上がりだ。一方で、いかなる金融資産も持たない低所得層も増加を続けている。金融資産がゼロの2人以上の世帯数は2013年に31%を占め、単身世帯数は38.9%に達した。1970−80年代、この比率は5%のみだった。

アベノミクスの一本目の矢である量的緩和策により、日銀は大量の紙幣を発行した。これらの資金の多くは株式市場に入り、日経平均株価は2年内に倍増し、一時1万8000円を超え2007年ぶりの高水準を記録した。同時に、円相場が30%以上低下し、輸入に強く依存する食品・燃料価格が高騰した。物価上昇や消費増税などの要素により、日本企業が今年数年ぶりに増給してはいるが、一般世帯の実質所得は減少を続けている。厚生労働省が12月2日に発表した統計データによると、労働者1人が10月に受け取った現金給与総額は前年同月比0.5%増となったが、物価上昇分や消費増税などの要素を除く実質は2.8%減で、16カ月連続の減少となった。

安倍首相の経済政策はまた、東京と地方、大企業と中小企業の格差を広げた。自動車などの輸出産業は円安により利益を増やしているが、日本企業の99.7%を占める中小企業は原材料価格の上昇と内需疲弊の圧力を受けている。商工会議所が11月に実施した調査によると、ドル円相場が1ドル=115円の大台に乗り、4割の中小企業の利益が減少した。

安倍首相は年初の施政方針演説の中で、「景気回復の温かい風をどの地域にも届ける」と述べていた。しかし記者が日本各地を取材したところ、東京以外の大半の地方では、景気に大きな改善が見られなかった。鹿児島県の南日本新聞社の海江田由加社会部長は本紙記者に対して、「九州では、せいぜい福岡のような大都市しかアベノミクスの恩恵を受けていない。安倍政権は地方創世のスローガンを掲げているが、この地方に各県の市町村が含まれているかは不明だ」と述べた。共同通信社の世論調査によると、人口の少ない地方ほどアベノミクスに対する評価が低く、東京などの大都市とは対照的だ。

貧富の格差が社会生活のその他の場面にも蔓延しており、教育という貧富の格差の「調節器」も効果を失い始めている。文部科学省の2014年学校基本調査によると、高校卒業生の4年制大学への進学率の全国平均は53.9%となった。地方別に見ていくと、東京都は最高の72.5%、青森県は最低の38.6%となった。両者の差は34ポイントで、20年前の格差の2倍弱に達している。進学率が低い地方の多くは経済水準が低く、学生の多くは家計の問題から学費や家賃を支払うことができない。

東京大学の学生の家計に関する調査によると、同校の学生の半数が年収950万円以上の家庭だ(日本の家庭は年収550万円が平均)。これらの学生は同年齢の人たちよりも早めに塾に通い、学費の高い私立高校に入学する比率も高い。ニッセイ基礎研究所主任研究員の土堤内昭雄氏は、「教育・就職・所得の格差が連鎖反応を形成しており、日本社会の層の固定が深刻化している」と指摘した。(編集YF)

「人民網日本語版」2014年12月19日

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