中国のネットでは昨年、「お金持ちはわがまま」が流行語となった。だが世の中には、「金持ち」よりもずっとわがままな人がいる。願っても得られないような高学歴や羨望の的となる高賃金に満足せず、若者らしい冒険心で世界に飛び出す人々だ。中国の起業の中心となりつつあるこれらの人々は、どのような世界を切り開こうとしているのだろうか。新華網が伝えた。
▽アルパカ肉の販売を夢見るハーバードの大学院生
今年は未年。アルパカ(中国語:羊駝)は中国でも「萌」える動物としてよく知られるが、食べたことのあるという人はさすがにまれだろう。そんなアルパカ肉を仲間とともに中国で売ろうとしているのが、米ハーバード大の大学院に通う覃叩さんだ。成都でのアルパカ料理の限定販売も準備中だという。
ハーバードの大学院で公共衛生管理を学ぶ覃さんは、世界の科学誌「ネイチャー」に論文を発表したこともあるという秀才で、ほかの学生からも一目置かれている。だが昨年9月にアルパカに出会って以来、アルパカの肉と毛織物を販売する企業を起こすことが夢となった。
覃さんがアルパカを初めて見たのは、ボストンの農場でのこと。JPモルガン・チェースのインターンの上海出身の王怡晨さんと訪れた農場で、中国では「神獣」とも呼ばれるアルパカを初めてすぐそばで見た。農場の近くで、アルパカの毛でニット帽やマフラーを編むおばあさんに会った。話を聞くと、アルパカの毛は「ソフトな金」とも呼ばれるほど貴重なもので、ウールよりも軽くて暖かいという。値段が高かったが、気に入った二人はそろって購入した。
中国ではアルパカが人気だが、実物は少ない。アルパカの関連製品には中国でビジネスチャンスがある。そう思った二人が調べると、アルパカは世界に約300万頭おり、その90%以上は南米のペルーやチリの高原に生息する。ペルーなどでは、羊の肉と同じようにアルパカ肉が食用とされていることもわかった。「アルパカの肉と毛織物を中国に売る最初のチームになろう」。起業のアイデアはこうして生まれた。