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【第148回】中国税関における知的財産保護 (2)

人民網日本語版 2015年01月30日11:31

なお、被疑特許権侵害の場合、被疑権利侵害者が商品伝票金額と同額の担保を提供できるならば、税関は当該貨物の通関を許可しなければならない。一方、被疑商標権、著作権侵害の場合、被疑権利侵害者から担保を提供されることを認められない。

二 職権による保護

職権による保護とは、事前届出手続き(税関のネットシステムを通じて、保護を希望する知財権利に関する情報を税関システムに記入して届出る手続き)が完了すれば、権利者側が申請しなくても、税関が自ら主動的に被疑侵害貨物の通関情報を権利者に通知し、権利者の要求に基づいて、貨物の差押えなどの何らかの措置を講ずることを意味する。反対に、事前届出手続きが完了していなければ、権利者側が実際の申請を行わない限り、税関はが自ら積極的に動くことはない。

よって、職権による保護を受けるには、税関への知的財産権の事前届出が必要となり、税関は、届出を受けた知的財産権に対して、権利者側の申請で、職権により被疑貨物を差押えることができる。この場合、権利者側が差押を税関に申立てる場合、なお担保を提供する必要があるが、申請による保護の場合と違い、多くの場合、商品伝票金額の半額の担保が可能である。

また、届出を受けた商標権に対して、権利者側が銀行か、非金融機構の発行した保証状を提出し、税関総署の許可をえた上、総担保の提供が認められる。これにより差押を申請するたび、担保提供の面倒が避けられる。

職権による保護の場合、申請による保護の場合と違って、税関は、自らが権利侵害の是非を判断できると規定されている。権利侵害の是非を判断できなく、かつ差押日より50日営業日以内、裁判所からの差押命令がない場合、税関は当該貨物の通関を許可しなければならない。

実務では、税関は主に簡単かつ容易な権利侵害事件だけの判断、処罰にとどまり、いささか議論が必要となる場合(被疑権利侵害者の抗弁がある場合)、裁判所での提訴を権利者に提案(要求)するケースが圧倒的である。

 作者:周暘 錦天城法律事務所パートナー弁護士(早稲田大学法学研究科卒 法学修士)

 「人民網日本語版」2014年1月30日

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