また、海外に進出すると同時に、いかに現地と融合・共存するかという問題も解決しなければならない。これまで中国企業はさまざまな要因から初期投資に偏る傾向があったが、海外企業はより長期的なスパンで投資を考え、投資・収入モデルで国際市場を開拓することに長けている。たとえば、高速鉄道が開通した後、乗車料金で融資分を返済するなどだ。こういった金融モデルは中国高速鉄道が真剣に学び、考えなければならないものだ。
これ以外にも、触手を世界に向けて伸ばし、既存の政治・経済の枠組みを打破しようとすると、必ず既存勢力の反発を受ける。このため、どうしても簡単には行かない。高速鉄道に対するタイの態度が変わった要因に挙げられる日本の低金利融資は、実は複数の要因の中の一つの要素に過ぎず、それ以外にも政治や経済などの要素も関係している。中国高速鉄道が世界各地で遭遇している障害が、このことを明確に証明している。現在、中日間の高速鉄道の受注争奪戦は続いており、その結果はまだ出ていない。
英フィナンシャル・タイムズ紙のウェブサイトでは、東京大学の瀬田史彦准教授が、「50年前と比較すると、日本は中国や韓国の経済発展がもたらした熾烈な競争に直面している」と語っている。中国高速鉄道の台頭により、かつて新幹線の名前を轟かせ、早くから高速鉄道技術を発展させてきた日本の勢いは明らかに弱まっている。しかし、日本は今も技術革新を絶えず行っており、現在「はやぶさ」の最高速度は320キロに達している。タイの高速鉄道受注に失敗し、現在のような価格戦を仕掛けてきた日本は、いったいどのぐらいこの局面を挽回する自信があるのだろうか?
1%の低金利融資は表面的には非常に魅力的に見える。中国政府が提供する鉄道インフラ整備の金利2%、鉄道システム運営管理の金利4%の融資よりもずっと低い。しかし、その後にかかるランニングコストは天井知らずの高さとなる。日本人は商品価格を低く抑え、その後のランニングコストを高く設定する販売方法に慣れている。これは、我々が日常的に使用しているプリンターなどでも見られる方法だ。中国で主に使用されているプリンターは日本製で、本体価格は非常に安い。時にはメーカーが無料で本体を提供しているぐらいだ。しかし、インクやトナーカートリッジなど消耗品の購入が非常に高くつく。後に続く消耗品で大きな利益を得る方法は、西側諸国の販売の一般的な方法だが、特に日本で多く見られる。