周斌さんは回想録の中で、「私は育ててくれた祖国中国を愛している。そして、同時に日本のことも好きだ」と綴(つづ)っている。
周恩来総理は中日国交正常化交渉を終えた後、次のように語った。「水を飲むとき、井戸を掘った人のことを忘れてはならない。できるだけ多くの人と友人になり、新しい友人を作るべきだ」。
通訳人生の中では、多くの失敗もあった。しかし、この回想録を通して、できるだけ歴史的事実に近づき、それを再現したいと思った。毎回、重大な任務の通訳を務めるたびに、関連した事柄や、会った人物、内容などを記録してきた。そのため、書籍を整理するのに、そこまで苦労はしなかった。私は今後も上海で老後生活を続けていく。私は今でも周総理が語った言葉を覚えている。「日本人は偉大な民族だ。中日両国は子々孫々に至るまで友好関係を結んでいかなければならない」。現在の両国関係は単に一時的なもので、いずれ健全に発展する道に戻るだろう。我々は偉大な先輩政治家たちに学び、中日関係を平和友好条約の原点に戻すべきだ。私自身、微力ではあるが、人生残り約10年の間に、中日関係のために貢献したいと思っている。私は、今毎日を楽しく過ごしている。ただ、身体は上海にあるが、心の一部はいまも東京にあり、常に日本や東京で起こっていることに関心を抱いている。現在の与党である自民党の政治家たちが、先輩たちの政策を学ぶことを希望している。私は、中日関係の将来について楽観的に見ている。(編集MZ)
「人民網日本語版」2015年3月17日