ドイツの格安航空会社(LCC)ジャーマンウイングスの旅客機9525便(A320機)が24日、フランス・アルプスの山深い場所に墜落し、乗客乗員150人全員が死亡した。新華網が報じた。
昨年12月28日、インドネシアのLCCエアアジアの8501 便が墜落し、乗客乗員162人全員が行方不明となってから、3カ月もたたない間に、今回再びLCCが墜落事故を起こしたとあり、「LCCの飛行機に乗るのは安全なのか?」と懸念する声が上がっている。
【急速に発展するLCC】
LCCとは、低価格の航空輸送サービスを提供する航空会社。その安全性を考察する前に、その発展の歴史とビジネスモデルに注目してみよう。
LCCは、効率化の向上によって低い運航費用を実現し、低価格かつサービスが簡素化された航空輸送サービスを提供している。
LCCは1990年初めに米国で出現し、そのビジネスモデルが世界に急速に広まった。飛行機に乗る際、多くの乗客は安全かつ早く目的地に着くことを望み、それほど多くのサービスを受けることは望んでいない。LCCはそのようなニーズに応え、低価格を実現することで、大手航空会社や鉄道などの乗客を取り込むことに成功した。シェア拡大のため、LCCはお得なセット商品などを度々販売し、その割引幅は、主流の航空会社を大きく上回っている。
2001年9月11日に米国で同時多発テロ事件が発生して以降、世界の航空会社は低迷するようになり、欧米の大手航空会社の多くは、過剰な輸送能力や航空機数に頭を悩ませるようになった。そんな中、一方のLCCは成長を続け、その勢いは増すばかりとなっている。
例えば、エアアジアは1993年にTune Airとして設立。毎年赤字が続き、経営破綻状態になったため、2001年に持株会社のチューンエアに経営が移り、格安路線に移行。急速に成長し、保有機材数2機、1路線から、保有機材数80機、就航地96都市の航空会社へと成長した。
今回事故を起こしたジャーマンウイングスは、97年にドイツの航空会社・ユーロウイングスの一部門としてスタート。09年1月に、ユーロウイングスとともにルフトハンザドイツ航空の完全子会社となった。現在は、欧州の60都市以上と結ぶ110路線を運営している。
現在、世界にLCCが170社以上あり、シェア26%を占めるようになっている。また、欧州連合(EU)の航空会社上位5位に、名を連ねるようになっており、米国でも、市場で重要な位置を占めるようになっている。アジア太平洋地域でも、シェアが30%近くになっている。