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日本の「産業遺産群」の世界遺産登録 植民地拡張の歴史を正当化する疑惑 (2)

人民網日本語版 2015年03月31日14:59

同申請プロジェクトは、九州地域の福岡や佐賀、長崎、熊本、鹿児島の5県、本州地域の山口、岩手、静岡の3県が含まれている。山口県だけが九州の遺跡と並列に扱われているのはなぜだろう?「明治維新胎動の地」とも呼ばれた松下村塾は、多くの政治家の出身地である山口県にある。日本の歴代首相62人のうち、9人が山口県出身で、日本の各都道府県の中で一番多い。伊藤博文や山縣有朋以外に、日清戦争には名古屋の第3師団長として出征し、その後台湾総督をも務めた桂太郎、日清戦争では兵站の最高責任者である運輸通信長官を務め、その後、初代朝鮮総督を務めた寺内正毅、「支那を征服せんと欲せば、まず満蒙を征服せざるべからず。世界を征服せんと欲せば、まず支那を征服せざるべからず」と説いた田中義一、そして、安倍晋三首相とその祖父に当たり、A級戦犯被疑者として収監された岸信介、その弟の佐藤栄作なども皆、山口県出身だ。これら政治家の蝋人形が現在、松下村塾の展示館に陳列されている。彼らもまた、「明治日本の産業革命遺産」の一部として讃えられるのだろうか?

国際連合教育科学文化機関(ユネスコ) は現在、世界遺産、無形文化遺産、歴史的記録遺産を保全する記憶遺産などの事業を実施している。うち、最も知名度と影響力が高いのが世界遺産だ。2014年の時点で、世界遺産の登録数は1007件を数え、故宮(中国)、ピラミッド(エジプト)、タージ・マハル(インド)などのすばらしい人工建築物以外に、四川省のジャイアントパンダ保護区や米国のイエローストーン国立公園などの自然遺産、シルクロードのような異なる文明をつなぐ貿易路などの文化遺産、さらに、過去には奴隷貿易の拠点として栄えたセネガルのゴレ島のような「負の世界遺産」などが名を連ねている。

ただ、ゴレ島のような「負の世界遺産」は非常に少ないが、大きな議論を呼んでいる。うち、第2次世界大戦に関連するのは現在のところ2カ所しかない。一つは、世界的に認められる負の世界遺産、第2次大戦の欧州戦場の罪の象徴としてのポーランドのアウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所だ。もう一つは、日本が1996年に登録された日本の原爆ドームが非常に問題となっている。日本では広島平和記念碑とも呼ばれ、核兵器や戦争の悲惨さと、日本国民の悲しみをほしいままに宣伝し、ここを第2次大戦時のアジア太平洋戦場の暴力の象徴としてカモフラージュしている。しかし、広島には戦時中、軍力が集結し、兵士を派遣する地となっていたことはほとんど知られていない。第2次世界大戦中、日本陸軍運輸部や工兵作業場、当時日本で重要な役割を担っていた軍事企業・三菱重工などが広島にあり、「軍の都」とさえ呼ばれていた。ところが、戦後半世紀が経った1996年に、日本は「原爆ドーム」を世界遺産として申請し、登録に成功した。それに加えて毎年繰り広げられる平和記念式典によって、広島に「軍の都」というイメージが薄れていき、逆に「平和の象徴」となってしまっている。

こうして、加害者が被害者となり、悪と正義が混同されているようだ。14年6月、中国は日本軍が30万人以上の中国人を殺害した「南京大虐殺」と「従軍慰安婦」に関する歴史資料をユネスコの「世界記憶遺産」に登録申請したと発表すると、日本の菅義偉・官房長官は記者会見で、「中国は政治的意図を持ってユネスコを利用し、無意味に日中間の過去の負の遺産に注目している。非常に遺憾」と抗議。それに対して、中国外交部(外務省)の華春瑩・報道官は、「中国は、日本の不当な抗議を受け入れることも、登録申請を撤回することもない」との立場を示した。実際には、「政治的意図を持ってユネスコを利用している」のは、日本のほうである。(編集KN)

「人民網日本語版」2015年3月31日


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