博士課程でダブルディグリーを取得した中年の中国人女性がこのほど、米国滞在ビザの期限切れによって、米国内の警察によって強制送還処分を受けた。北京出入国検査総局は25日、この女性がすでに両親が住む実家に戻ったことを明らかにした。北京晩報が伝えた。
北京出入国検査総局は23日午後、米国から強制送還された中国籍の女性、蘭さん(仮名)を留置した。黒いダウンジャケットで頭から脚元までを覆った38歳の蘭さんは、髪の毛にちらほら白いものが混じり、土気色した顔は皺だらけだった。人民警察が彼女を送還待機室に連行した際、彼女は荷物を何一つ持っておらず、所持品は薬の箱ひとつだけだった。
蘭さんは、中国語と英語で、人民警察に対し、中国北西部出身であること、小さなころから勉強が好きだったこと、両親は彼女が勉強に集中できるよう家事を一切させなかったことなどをとぎれとぎれに話した。彼女は、全国トップ3に入る有名大学に合格し、博士号を取得、博士研究員(ポスドク)になった。また、米国の大学院に推薦で入学、そこでもポスドクとして研究活動を行ったという。
地質学が専門の蘭さんは、担当教員の指導で、米イエローストーン国立公園で研究活動をした経験があり、非常に優秀だった。だが、就職すると、彼女にはさまざまな困難が待ち受けていた。ある時、上司が数人の外国人新入社員の社交能力を試そうと、パーティで一人一人に巨大なステーキを供し、完食するよう求めた。外国人新入社員の中には、上司にうまく取り入る、あるいは数人でステーキをシェアするようにうまく計らう人もいたが、蘭さんだけは、お皿に盛られた巨大なステーキを前にして、「食べきれません!」と悲鳴を上げた。蘭さんは失業を繰り返した。そうしているうちに米国滞在ビザの期限が切れたが、彼女が更新できるよう証明書類を出してくれる会社はなかった。また、アパートの家賃を支払うお金も底が尽きた。ある日、警官が、茫然自失の状態で街をふらふらと歩いていた蘭さんを発見した。
出入国検査局の人民警察は、蘭さんの両親が住む実家を探し出し、現地の人民警察に協力を求めた。蘭さんと2年前から連絡が取れなくなっていた両親は、娘の消息を知って大変喜んだ。連絡を受けた日の午後8時50分ころ、両親は空路北京に駆けつけ、ついに娘と再開した。抱き合って号泣する一家の様子を見て、出入国検査局の人民警察も、思わずもらい泣きしたという。(編集KM)
「人民網日本語版」2015年4月27日