多くの発展途上国は、世界のサイバー空間のユーザー増加や経済成長に寄与している。だがサイバー空間の国際ガバナンスにおいては周辺に追いやられ、サイバー空間の国際ガバナンス体系を通じて自国に見合った権利と安全保障を得ることができずにいる。
報告はさらに、「2013年6月に『スノーデン事件』が発生した後、覇権国のサイバー空間における能力の乱用をいかに防ぐかが、世界の各方面が関心を寄せる重点となった」とした。
国内外のサイバーセキュリティホールの特徴を総合的に分析した上で、報告は、中国のサイバー空間における戦略環境には次のような特殊性があると指摘している。第一に、知的財産権の保護の力が追いついておらず、情報産業の低水準での推移を招いており、セキュリティホールの管理力が限られている。第二に、ソフト・ハードウェア産業が産業チェーンの下流に位置しており、セキュリティホールの管理の主導権が自分の側にない。第三に、サイバー空間のセキュリティホールの急速な発展を前にして、マイニングの能力が限られている。
中国のサイバー空間のセキュリティホール管理に対する「考察と提案」の項目では、「軍を主体として国家のサイバーセキュリティの力を統合する」ことが提案された。
報告によると、サイバー空間は、原子力や宇宙の分野と並ぶ戦略的な空間となっている。サイバー空間における作戦は、陸が戦場だった時代の戦車や、海が戦場だった時代の航空母艦、空が戦場だった時代の戦闘機に代わり、未来の戦場における主要な作戦行為となるものと見られる。軍を主体として国家のサイバーセキュリティの力を構築することは、世界的に行われているやり方であり、サイバー空間の状況認識能力や防御能力、反応能力、調査・証拠収集能力、攻撃能力を国内で有効に統合することを可能とする。
報告書は、「中国軍について言えば、通信や機密保持、情報(情報収集とハイテク捜査含む)、指揮の自動化、電子戦、さらには宇宙の分野まで、サイバー空間に相当の数の部隊を配置している。中国軍に足りないのはサイバー空間の戦略的な配置だ。これには中国軍が兵種間の利益関係を取り除き、統一的な発展計画を制定し、統一的な組織メカニズムを構築し、統一的な指揮制御を形成するための戦略的な決定を下す必要がある」としている。(編集MA)
「人民網日本語版」2015年4月29日