■温泉地の箱根
神奈川県の話題に触れると、私の脳裏には、日本の漫画「SLUM DUNK」と箱根温泉が浮かんでくる。前者は、小さい頃からの一貫した思い出であり、後者は当時、川端康成の小説「雪国」を読んだとき、ヒロイン駒子のむなしい愛情や徒労を描いた悲恋の物語よりも、真っ白な雪景色の中で温泉に入るシーンが印象に残っていたからだ。
このため、東京の次の目的地を神奈川県の箱根温泉に決めた。日本の温泉と水着を着て入る中国の温泉とでは習慣が異なる。日本の温泉では、温泉に入る前に、必ず身体をきれいに洗わなければならない。さらに、温泉に入るときは、裸になる必要があり、タオルなども温泉の中に持ち込んではならない。これは、水質が汚れるのを防ぐためだという。裸で入るのは、恥ずかしくてバツが悪いのではと思っていたが、中を見ると全員が平然としており、人をじろじろ見ることもないので、平気だった。
温泉に入ると、冷たかった身体が一気に温まり、あらゆる細胞が倦怠の中から息を吹き返したように感じた。目を大きく開けて、周りの緑の木々を眺め、新鮮な空気を肺の中に取り込む。いわゆる快適とはこのようなことを言うのだろう。一気に心が穏やかになった。