総合経済紙・フジサンケイビジネスアイは5日、オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)の調査報告を引用し、ミャンマーなどの東南アジア諸国は、人件費が安いというメリットを活かし、今後10年から15年以内に中国に取って代わり「世界の工場」となりそうだと報じた。日本のメディア各社は続々とこの報告を転載、世論の動向から見ると、日本の投資の重点は東南アジアに移っているかのようだ。だが、実情は決してこの通りではない。環球時報が伝えた。
日本最大の経済紙・日本経済新聞には、日本企業の東南アジアへの投資に関する報道や、東南アジア市場の将来性に関する記事が、毎日のように掲載されている。だが、実のところ、対東南アジア投資に関する日本のメディア報道には、幾分誇張している点があることは否めない。日本経済新聞は数度にわたり、三菱商事によるミャンマーの港湾や発電所への投資に関する記事を掲載、「発電所への投資は総額1兆円に達する見込み」と報じた。環球時報記者が三菱商事トップ層にこの件について確認したところ、このトップ層は答えを濁し、「対ミャンマー投資は、今後数十年に及ぶ可能性があり、最終的には1兆円ほどに達するかもしれない」と当たり障りのない言い方をした。
また、複数の日本企業も、「生産拠点を中国から東南アジアにシフトするような流れは、今のところ起こっていない」としている。日系家電メーカーの深セン工場の担当者は、「数年前、中国の人件費が高騰する可能性を見越し、ベトナムでの工場建設を検討したことがある。だが、計画に関わった人物が、ベトナムではしょっちゅう停電が起こるため、工場での生産に支障をきたす恐れがあるとアドバイスしてくれた。また、ベトナムには大きな市場は見込めず、製品販路の拡大は望めないという問題もあった」と話した。
中国国内で賃金が急上昇したことは、日本企業が東南アジアに着目する要因の一つとなった。2015年、東南アジア主要国の最低賃金は、中国とはまだかなりの差があるが、今後の賃金の上昇率については予想がつかない。企業投資の動向に関する調査に携わる国際協力銀行(JBIC)HRM室人事課長の菊池洋氏は、「投資動向を見ると、日本企業による対東南アジア投資は、この2年間で新たに生じた動きだが、この情勢からすぐに、中国から東南アジアに投資先が変わったという結論を導くことはできない」とコメントした。(編集KM)
「人民網日本語版」2015年5月7日