こうしたことからわかるのは、中国が対外投資や国際協力を推進する場合は、先進的で明晰な戦略的思考をもつだけでなく、詳細な内容と慎重なプランを備えることが必要だということだ。日本の経験は、そこから学び、参考にする価値があるものだ。まず、相手国のさまざまな状況を十分に理解し、関連のマニュアルと対策をうち出し、事前には根拠なく楽観的になり、事後にはどうしようもない状態に陥るということがないようにしなくてはならない。より広い意味でいえば、立ち上がり、発展しつつある大国の対外経済戦略には、科学研究機関の関与が必要であり、一部の部門や企業だけが関わるということではいけない。
次に、国は関連政策を制定してうち出し、中国とプロジェクト建設の実施国の関連の法律との整合性を図り、中国の対外投資戦略の健全な発展を誘導していく。たとえば相手国の政策法規、環境保護、宗教信仰、風俗習慣、労働者の福祉などを考慮して、企業が自社の利益ばかりを考えて、中国の利益と名誉を損なうことがないようにする。
最後に、海外にいる華僑のパワーを十分に発揮させ、華僑の頭脳と知恵を借りれば、中国の足りない点をかなりの程度補うことができる。タイの華僑のリーダーでもある有名な弁護士は、「中国の高速鉄道投資は経済力の強みを発揮するだけでなく、知恵をよりどころにしてタイ社会の承認を得るための試みでもある。知的財産権の一部を共有する方法によって、競争相手の他国を上回り、戦いに勝つことができる。つまり、『1ベルト、1ロード』(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)戦略の実現と対外投資の加速のためには、真剣に準備し、着実に事を進める必要があるということだ」と話す。(編集KS)
「人民網日本語版」2015年5月21日