海外メディアはしばらく前に日本がタイの鉄道プロジェクトに参加する意向であることを報じた。これが事実であるにせよ、ないにせよ、日本をはじめとする各国が中国と高速鉄道市場を争っているのは、紛れもない客観的な事実だ。「環球時報」が伝えた。(文:翁鳴・中国社会科学院<社会科学アカデミー>農村発展研究所研究員)
中国経済が急速に成長するのにともない、対外投資や対外協力を拡大することが大きな流れになってきた。今後しばらくの間、インフラが主導する対外投資戦略が、中国の対外経済戦略の最重要点になるとみられる。だが海外市場の情況は複雑で、経済的リスクが存在するだけでなく、政治的リスクも存在する。相手国の政策の影響を受けるだけでなく、国際社会のさまざまな要因の影響も受けることになる。
今年1月にタイを視察した際、中国がタイで高速鉄道プロジェクトに投資するのは容易なことではないことがわかった。まず第1に、日本がタイで長期的な投資の経験を有している。トヨタ自動車はタイに自動車生産ライン、メンテナンスステーション、販売店を設立しただけでなく、自動車産業チェーンをタイヤパークにまで伸ばしており、タイ経済と密接な関連がある。第2に、米国と日本の文化がタイの官僚に影響を与えている。過去数十年の間に、タイの多くの学生が日本と米国に留学し、国に帰って政府の職に就いた。一連のタイの官僚や学術関係者がいうには、タイ政府が高速鉄道を建設する場合は、中米日間の関係と可能性を繰り返し検討するという。第3に、日本はタイで強いソフトパワーを有している。長年にわたり、日本は戦略的な観点から出発し、タイに一連の日本文化機関を設立してきた。こうした機関を寄りどころにして現地の経済情報や社会情報を収集し、把握しており、タイで研究や投資を行う場合に役立っている。またタイ国民の中には、日本の新幹線は歴史が長く、日本の高速鉄道は安全性に優れているという見方を示す人が一定数いる。