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日本の家族経営企業はいかに「富は3代続かず」を逃れてきたか (2)

中国メディアが見る日本

人民網日本語版 2015年05月27日09:53

近江商人博物館の解説員が披露する家訓の複製品

塚本社長は、「この掛け軸は家族に伝わる家訓の一つで、1867年に創業してから現在まで、家業の継承者の経営の道にずっと連れ添ってきたもの」と語る。このほかにも、「意図を理解するのに苦労した家訓も伝わっている」と語る塚本社長は、見たところごく普通のガラスの容器を見せてくれた。中には、すでに使えなくなった鉛筆の余りがいっぱい入っている。塚本社長は、「当時、父が亡くなった時、このようなガラスの容器が12個も残っていた。長い間考えた末に、ようやくその中に含まれている『刻苦精励』という意味を理解することができた」と語った。おそらくこの家訓もあって、家業を継いですでに40年になる塚本社長は今も毎日朝3時に起床し、5時に出勤する習慣を続けている。

実家が滋賀県の東近江市にある塚本社長は、有名な日本3大商人(近江商人、大阪商人、伊勢商人)の中でも名声が高い近江商人の系譜を引いている。琵琶湖湖畔の五個荘町には、今も近江商人の古い屋敷が当時の姿のまま数多く残されている。地元にある近江商人博物館の中で、深い印象に残った展示内容はそれぞれの特色を持つ「家訓」だった。博物館の解説員はわざわざ家訓の複製品を取り出して見せてくれた。そこには、例えば、「奢者必不久」(奢れる者かならず 久しからず)や「先義後利栄,好富施其德」(義を先にし、利を後にすれば栄え、富を好しとし、其の徳を施せ)、「利真於勤」(利は勤むるに於いて真なり)などの文字が書かれていた。実のところ、伝統的な中国の商人にとってもすべてなじみ深い言葉ばかりだ。近江商人全体に伝えられる「家訓」と見られているのが、現地で非常に流行したいわゆる「三方よし」(「売り手良し」「買い手良し 」「世間良し」)という家訓だ。

家族経営企業の第6代目後継者である塚本社長は、「6代にわたる経営者は代々『塚本喜左衛門』という名を名乗っている」と語った。このことからも、継承に対する思いが非常に強いことが見て取れる。塚本社長は、「古代の近江地域は地理的に中国大陸の文化が京都や奈良などに伝わる際に必ず通る道に位置していたことから、近江商人の経営理念の中には、中国文化の影響の痕跡が比較的多く見られる」という見方を示した。


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