この後、急速に回復した桐生は、努力を重ね、今年の3月に米国テキサス州で行われた競技会「テキサス・リレー」で追い風参考記録ながら9秒87をマークした。日本国内は再び桐生が10秒台を切ることに期待を寄せたが、その後に参加した関東学生対校選手権での桐生の成績はあまりふるわなかった。そして、先月31日には蘇炳添が米国でアジア人初の9秒台をマークしたニュースが流れた。
実は、先月31日の当日、中国人が100メートル9秒台の記録を出したことに対するコメントを取るため、東洋大学側の広報担当に連絡を入れたのだが、大学側からはまだ返事が戻ってきていない。現時点でのニュースを見る限り、この日はまさに桐生が負傷した日だったに違いない。今回の肉離れの治療には6週間が必要とされることから見ても、桐生は米ニューヨークで開催されるダイヤモンドリーグと日本陸上選手権(新潟)を欠場せざるを得ない。しかし、これは桐生に致命的なダメージを与えることになる。「テキサス・リレー」での記録は追い風参考記録で公認記録ではないため、世界選手権(北京)に参加するには、桐生はこの2つの大会で少なくとも10秒16の記録を出すことを必要とされていたからだ。
このように、桐生が世界選手権に参加することは事実上ほぼ難しい状態となった。蘇炳添が日本勢より先に10秒の壁を破ったことを受け、日本はエース桐生が先を越された雪辱を果たすことに期待を寄せていたが、現在の状況を見る限り、しばらくの間は中国の短距離界が日本勢をリードすることは間違いないだろう。(編集MZ)
「人民網日本語版」2015年6月5日