中国の蘇寧雲商集団株式有限公司の傘下にある日本の免税店運営会社・ラオックス株式会社は、日本市場での版図拡大を進めている。商務部(商務省)が11日に発表したところによると、ラオックスは婦人靴の製造販売を手がける日本企業モード・エ・ジャコモを買収し、7月に全株式を買収して完全子会社化することを確定した。買収金額は数億円に達するとみられる。業界は、ラオックスと中国の蘇寧は新たな「国境を越えたネット通販モデル」を形成しようとしている、とみる。「北京商報」が伝えた。
モード・エ・ジャコモは1975年の創業。「カリーノ」や「メダ」など10を超える主力ブランドを擁し、年商は約50億円に達する業界の主力企業だ。日本では全国の主要デパートで直営店約50店舗を運営するほか、デパートやショッピングセンター向けの卸売・通販事業も手がける。日本国内に自前の工場をもち、製品の半分以上を日本で生産している。
ラオックスはアパレル事業に進出しており、今年6月には独自ブランド「オリガミ」をうち出し、ラオックスが独自にデザインし、日本で製造したシャツやジャケットなどの衣料品、カバン、アクセサリーなどの販売を始めた。また外国人観光客の嗜好とニーズを踏まえ、日本の一流メーカーと提携して、海外の顧客向けに「メードインジャパン」を前面にうち出したファッショナブルな衣料品・アクセサリーの開発も進めている。ラオックスは、「靴の製造などに自ら乗り出すことで、訪日観光客に日本製品の品質の高さをアピールし、自社店舗の売り上げを伸ばしたい」としている。
今回の買収はラオックス初の合併買収(M&A)だ。蘇寧に買収された後のラオックスはここ数年、日本市場で急速な発展を遂げている。2014年には赤字を黒字に転換させて、前年比138.29%増加の12億4300万円の純利益を達成し、これには中国人観光客の貢献が非常に大きかった。
ラオックスの公式データによると、毎年海外70数カ国からの客を受け入れるが、現在は年間の売上高のうち80%を中国人が占めるという。ラオックスはこのほど東京で3つ目の大規模免税店をオープンしたほか、今後3年間に400億円を投資して免税店を50店舗増設する計画も立てている。
北商商業研究院の分析では、ラオックスが日用品に力を入れるのは、親会社・蘇寧が中国国内で国境を越えたネット通販の発展に力を入れていることとも関係があるという。また事情通は、「蘇寧はこれまでに米国や韓国で独資企業あるいは合弁企業を設立しており、国境を越えたネット通販のための道を敷いたといえる」と指摘する。(編集KS)
「人民網日本語版」2015年6月12日