今回の会合で追加緩和を決めなかったもう一つの理由として、日銀が米連邦準備制度理事会(FRB)の動きを考慮したことが挙げられる。
FRBが利上げするかどうかの論争が今週木曜日に始まる。黒田総裁は15日の記者会見で、FRBの利上げの可能性について言及することを避け、利上げは米国経済への信頼感の上昇を示し、利上げしても資本の流出を招くとは限らないとの見方を示し、「円が現在の水準にとどまるなら、インフレも止まらなくなる」と述べた、。
だが多くのアナリストは次のように指摘する。日銀は実はFRBの利上げを歓迎している。利上げにより円が一層下がりするとみられるからだ。弱い日本経済には弱い円が必要で、金融緩和の規模をさらに拡大する余地はそれほどないからだ。FRBの利上げが円安を招くなら、日銀は自ら金融緩和に力を入れなくても済む。こうしたわけで日銀がFRBの利上げを願わないわけがない。
ジャパンマクロアドバイザーズの大久保琢史チーフエコノミストは、「FRBが9月に利上げをする可能性が低いことから考えて、日銀はFRBの動きを待つべきではなく、早めに措置を取ってインフレ期待を維持するべきだ」との見方を示す。
日銀の会合の決定内容が伝えられると、円の対ドルレートは取引開始直後にやや値下がりし、その後回復傾向をみせ、午後3時の時点で1ドル=119.72円となり、前日比上昇幅は0.41%だった。これにより円は3日連続で上昇した。日経平均株価と東証株価指数はいずれも開始早々の値上がりが帳消しになり、終値は前日並みの水準となった。(編集KS)
「人民網日本語版」2015年9月17日