近頃、世界の株式市場、為替市場、大口商品市場などで価格の変動が激しい。2008年の金融危機の再来という声も上がっている。しかも、今回の危機の発生源は中国だという。しかし、中国人民大学の学長・陳雨露氏は人民日報の取材に答え、この見方を否定した。陳学長は「中国は大規模な輸入と自国の実体経済の安定的な成長によって、世界経済に信頼できる成長の動力源を提供したのみならず、為替相場の安定と通貨交換によって、金融市場の安定を力強く保障した」と指摘する。人民日報が伝えた。
陳雨露氏の指摘した内容は以下の通り。
貿易のバランスを見ると、中国は世界最大の製造業を有すると同時に、世界最大の消費者を有し、輸出入の規模も大きい。中国の経常収支の黒字額の対GDP比はピーク時の約10%から2%前後にまで下がり、国際的に認められた合理的水準(4%)以内に収まっている。これは、世界金融危機以来、中国が世界貿易のリバランスに約40%も貢献したことを意味する。
対外投資を見ると、世界の資本回収、流動性の減少および投資収益期待の低下という背景の中、中国では新たな対外投資熱が巻き起こり、国際投資環境の安定化と被投資国のニーズけん引に大きく貢献した。国連貿易開発会議(UNCTAD)の統計によると、中国大陸の対外直接投資総額の世界ランキングは、2007年の18位から2014年には3位に上昇した。
構造調整を見ると、中国は貿易のリバランス、実効為替レートの上昇、相対価格の調整を通じて、世界の産業構造調整に大きな動力を提供した。また、中国自身の産業構造の調整も、将来の世界の産業構造調整の源となるだろう。