米トムソン・ロイター社がこのほど発表した統計データによると、2015年1月1日から8月20日までの間に、日本企業が発表した海外での投資とM&Aの金額は合計7兆円を超え、前年同期に比べ77%増加した。世界の国境を越えたM&A案件の中で、日系企業の占める割合は5.9%に上昇した。こうした一連の数字からわかることは、日系企業が国際金融危機発生後の海外投資および海外M&Aをめぐる新時代を迎えているということだ。
日本紙「日本経済新聞」の報道によると、15年度の日系企業のM&Aの特徴は規模が大型化している点にある。1-8月のM&A件数は同3%の伸びにとどまったが、円安の影響によって買収金額が大きく膨らみ、1件あたり平均170億円で12年の平均98億円を上回った。このうち保険産業による大型案件が突出しており、たとえば住友生命は8月11日に4666億円で米国の生命保険会社シメトラを買収すると発表し、明治安田生命は米生保グループのスタンコープ・ファイナンシャル・グループの買収を決定した。また日系企業は物流、医薬品、情報技術(IT)分野でも活発にM&Aを行っている。
少子高齢化を背景として、日系企業は日に日に縮小する国内市場に直面しており、海外企業を買収して生き残りと発展をはかるのが重要な選択肢になっている。長年にわたり中日企業のM&A業務を手がけてきたマイツグループの池田博義最高経営責任者(CEO)は、「ここ数年、日系企業が海外でのM&Aで活発な動きをみせているのは、第一に、日系企業が十分な資金をもっているからだ。2008年に国際金融危機が発生すると、日本企業は財務の安全性を保障するために相次いで投資を減らし、十分な資金を積み上げた。国際競争環境が日に日に激しくなるのにともない、日系企業は資金の運用戦略の調整を始め、海外M&Aの人気が徐々に高まってきた」と話す。
また池田CEOによると、「第二に、人口が減少し国内需要の伸びが力不足に陥る中、日系企業は海外市場を積極的に開拓して内需の縮小を補ってきた。第三に、企業が資金をより有効に運用することを願い、資本利益率を挙げることを重視する株主の意識が日系企業の海外投資、海外M&Aのテンポを速めている」という。