(3)地域レベルの貿易交渉が進展したが世界への影響については議論が続く。環太平洋経済連携協定(TPP)の締結は重要な進展ではあるが、TPPがもたらす影響が果たしてどれくらいのものかにはなお議論が存在する。TPPが実際に運営をスタートすると貿易の転換をもたらし、特に中国のような貿易大国を排除しているため、大規模な貿易の転換が起き、ひいては全体としてTPP加盟国の福祉が低下する可能性が高い。
(4)一部のリスク要因が新興市場経済のさらなる鈍化を推進する可能性がある。新興エコノミーの経済成長に構造的な鈍化と周期的な鈍化が積み重なる局面が出現した。現在、新興エコノミーの経済成長のさらなる構造的鈍化を招くリスク要因には、制度、インフラ、人口構造、産業構造の4つがあり、周期的鈍化の要因は主にマクロ経済要因で、これにはインフレの過度の抑制が引き起こした経済低迷のリスク、金融の開放と金融の自由化を過度に進めたことで生じた金融の不安定状況がもたらした経済低迷のリスクなどが含まれる。
このほか、発達したエコノミーの需要管理政策が効果を現したが、持続可能性には大いに懸念があること。米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げがグローバル経済に不安定リスクをもたらしていること。コモディティの価格低下が底を打ったこと。国内外の経済政策が高度に政治化し、多くのエコノミーの国内外の経済政策と構造改革が既得権益集団に絶えず邪魔されていること。こうした要因はいずれも2016年のグローバル経済に暗い影を投げかけるものと予想される。(編集KS)
「人民網日本語版」2015年12月24日