先週末の米国株式市場の高騰、日本銀行のマイナス金利政策の決定、円相場の値下がりといったさまざまな要因の影響により、今月1日の東京証券取引所は高値で始まり、高値で推移し、日経平均株価は1.98%上昇した。
日銀はこのほどマイナス金利政策の実施を決定したと発表すると同時に、2%のインフレ目標達成の時期を「2016年下半期」から「2017年上半期」へと延期した。マイナス金利が適用されるのは金融機関が日銀に預けた預金のうち預金準備を超過した部分であり、個人や法人の普通預金には適用されない。日銀はこれまでこの超過部分の預金の金利を0.1%としていたが、2月16日からはマイナス0.1%となり、金融機関は預金することで銀行により多くの金額を支払うようになることを意味する。日銀はマイナス金利によって各銀行が実体経済への貸出を増やし、経済成長を促進することを狙う。
13年4月、日銀は国債の購入を主な手段としてマネタリーベースの拡大をはかる金融緩和政策をうち出した。14年10月には国債の購入規模を当初の年50兆円から80兆円に引き上げた。だが日銀が市場に投入した資金は期待通り実体経済に流れ込むことはなく、その多くが普通預金の形で日銀の口座に戻ってきただけだった。統計によると、現在、銀行をはじめとする各種金融機関が日銀に預ける預金は約253兆円に上り、金融緩和実施前の13年3月の4.4倍に増えたが、貸出の増加率は8.3%にとどまった。
国債購入の可能性が縮小し始めている。研究機関の試算によると、日銀は発行された国債の3割以上を保有しており、現在のペースで購入を続けると、18年には6割を保有することになり、市場操作がほとんどできなくなる。市場では日銀のマイナス金利政策を「意外」とする声が多かった。実際、日本の経済情勢と日銀の政策目標との開きが拡大するようになってから長い時間が経つ。
日銀は当初、2%のインフレ目標を2年で達成する計画だった。円安に後押しされて、日本の輸出企業の利益と納税額、雇用市場のデータは約20年ぶりに過去最高を更新した。だが昨年下半期に原油価格が下落すると、15年の日本の生鮮食品を除いた消費者物価価格(CPI)は前年比0.5%上昇にとどまり、この3カ月はさらに低下して0.1%あたりをうろうろしている。国内総生産(GDP)の6割を占める個人消費は4カ月連続の減少だ。日本の総務省がまとめた統計によると、15年12月に日本の2人以上の世帯の月平均消費額は31万8200円で、物価変動要因を考慮した実質減少率は4.4%だった。日銀は1月29日に16年のCPI上昇率予測をそれまでの1.4%から0.8%に下方修正しており、ここからインフレの見通しが悪化したことがわかる。日銀はインフレ目標の達成時期を延期したのはこれが3回目だ。