▽貧富の差が拡大
貧困層が増え続ける一方で、安倍政権発足後、日本では大企業と富裕層の資産がたびたび過去最高を記録している。
財務省のまとめた統計をみると、14年度には日本の大企業約5千社が保有する利益は299兆5千億円に達し、前年度比14兆円増加し、8年連続で記録を更新した。米経済誌「フォーブス」がこのほど発表した日本の15年度長者番付をみると、上位40人の資産総額は15兆4千億元に増加し、安倍政権になってからの4年で2倍以上増えた。
▽「鉄の茶碗」はもうない 誰もが非正規
日本が戦後、多数の中産階級を擁する社会を形成した上で、終身雇用制の果たした功績は計り知れない。だが90年代にバブル経済が崩壊すると、企業の業績が大幅に低下し、日本政府は経済界の要請を受けて法律を改正し、労働者の利益を犠牲にして、企業が非正規の労働者を雇用することを認め、こうして終身雇用制をはじめとする日本の職場の伝統は失われた。
21世紀になると、非正規労働者は年々増加。厚労省の統計では、14年には1962万人に達し、全労働者の37.4%を占め、95年に比べ約900万人増加した。
宇都宮氏は、「非正規労働者の賃金は正社員の約半分で、昇進のチャンスもなく、あらゆる面で不公平だ。企業の業績が悪化すれば、すぐにクビを切られる」と指摘する。08年の金融危機の時には、大量の非正規労働者がリストラされ、ホームレスになる人もいて、深刻な社会問題となった。経済協力開発機構(OECD)は当時、日本政府に非正規雇用の横行する状況を改善するよう求めた。