当時「一休さん」のアフレコをつとめた俳優たち。前列真ん中が一休さん役の声優・李韞慧さん。
「一休さ~ん」、「は~い。あわてない、あわてない、ひと休み、ひと休み」。70年代、80年代生まれの多くの人の記憶に残る一休さんのかわいらしくハキハキした声は誰の声だろうか?「一休さん」が30歳から45歳の大人たちにとって忘れがたい思い出となっているのはどうしてだろうか?国際子供の日(6月1日)に際し、一休さん役をつとめた声優の李韞慧さんを珠海にたずねた。中国新聞網が伝えた。
今年73歳になる李さんは国家一級俳優で、現在は珠海の湾仔に居を構える。声優をつとめた当時を振り返りながら、「1982年に香港テレビ局が日本の東映株式会社制作のアニメ『一休さん』の版権を購入した。当時の広東省ラジオ映画テレビ総局の局長が香港で交流会に参加した時、このアニメを中国で放映したいという考えが芽生えたという。その後、遼寧テレビ局の交流会で二つのテレビ局が協力して版権を購入することが決まり、遼寧テレビ局は主に『一休さん』の普通話(標準中国語)への翻訳作業を受け持つことが決まった」と李さんは滔々と語りだした。
李さんによると、当時、遼寧テレビ局が遼寧児童劇院に声優を選ぶため訪れた際、劇院は80人の俳優の中から20人を選んで、テープに録音した声を遼寧テレビ局に届けたという。テレビ局側はその中から9人の声優を選び、アニメの主役である一休さん役には当時すでに41歳だった李さんが選ばれた。
「33年経った今でも、当時の一休さんのセリフの多くをそらんじてみることができる」と語る李さんだが、この作品で声優をつとめるまで、外国作品の吹き替え経験などは全くなかったという。そのため、完成度の高いアフレコを目指すため、声優チームは毎朝7時には家を出てテレビ局に行き、夜11時過ぎまでみっちりアフレコを繰り返し帰宅。第1回目の放送分のアフレコは何度も繰り返し収録し直したそうだ。