香港の独立非営利法律団体「アジア太平洋国際法学院」は6月28日、6月初めに南中国海仲裁裁判所に南中国海仲裁裁判に疑問を呈する「アミカス・キュリエ」意見書を提出したが、いかなる回答もないことを明らかにした。中国内外の法律専門家は仲裁裁判所が遅々として回答しないことに懸念を表明している。人民日報が伝えた。
アジア太平洋国際法学院院長で香港の著名弁護士である馮華健はこのほどメディアに対して「国際法の枠組下の司法機関として、第三者の独立した法的意見に回答する義務がある。本件で仲裁裁判所が独立した第三者の法的意見をこのように無視するのは極めて異常だ」と語った。
アジア太平洋国際法学院は6月6日に「アミカス・キュリエ」意見書を仲裁裁判所に提出し、フィリピンの申し立てた南中国海仲裁裁判に対する裁判所の管轄権に疑問を呈した。意見書には香港やオーストラリアの複数の弁護士や国際法の専門家が署名。複数の国際的事例を引用して、仲裁裁判所の管轄権と本件の可訴性に両面から、フィリピンが一方的に申し立てた仲裁及び仲裁裁判所の本件受理の法的基礎に疑問を呈した。
意見書に署名したマッコリー・ロースクールのナタリー・クライン教授は6月29日、人民日報の取材に「『条約』により、仲裁裁判所はフィリピンが申し立てた南中国海仲裁裁判に対して管轄権がない。『条約』は仲裁裁判所に、主権に関わる紛争を解決する権利を与えておらず、国境紛争の解決や海洋境界画定の権利を与えていないからだ。南中国海問題の歴史性と複雑性を考えると、南中国海をめぐる争いは協議と交渉によって処理するべきだ」と語った。
南中国海をめぐる中比の争いの核心は島・礁の主権の帰属と海域境界画定問題だ。国家海洋局海洋発展戦略研究所の密晨曦副研究員は人民日報の取材に「南中国海仲裁におけるフィリピンの訴えは島・礁の帰属や海域境界画定の問題と切り離せない。南中国海断続線に関するフィリピンの仲裁要請は南中国海をめぐる中比の本質的争いではないく、粉飾、分解、主観的憶測による偽命題だ。これらの訴えは南中国海をめぐる中比の争いの核心的問題を回避し、歴史、事実及び南中国海における中比の争いの全貌を覆い隠している。これには『条約』を利用して南中国海断続線内における中国の歴史的権利の合法性を否定する狙いがある」と指摘した。
厦門(アモイ)大学南中国海研究院の傅コン(山へんに昆)成院長は人民日報の取材に「仲裁裁判所は意見書を参考にするべきだ。意見書は仲裁裁判所が管轄権と事実認定についておろそかにした点について注意を促している。これまでに海南の関連協会と台湾の団体が提出した『アミカス・キュリエ』意見書は大変価値がある。特に台湾の団体の意見書は太平島が島であることを確認する調査報告を提出した」と指摘した。(編集NA)
「人民網日本語版」2016年7月1日
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