米国の南カリフォルニア大学外交研究センターと英ポートランド社は12日「2018年世界ソフトパワー研究報告」を共同で発表した。報告によると、英国が世界で最も大きなソフトパワーの影響力を備えた国家となり、中国は第27位と、4年連続でトップ30にランクインした。一方、米国のソフトパワーランキングは第4位にランクダウンした。環球時報が伝えた。
連続4年目で発表された同報告によると、英国は、世界で最も大きなソフトパワーの影響力を備えた国家に選ばれ、フランスが第2位、ドイツは第3位、米国は第4位、日本は第5位だった。報告では、国家のソフトパワーを評価するにあたり、6項目の客観指標(政府・文化・教育・グローバル寄与度・企業・デジタル化)およびグローバル世論調査に基づき、ソフトパワー指数を算出、ランク付けしている。
今年度の中国のランキングは第27位と、引き続きソフトパワー上位30位入りを果たし、特にグローバル寄与度と教育の2つの指標で著しい成長をみせた。また、国家の伝統的優位性として、中国文化が依然、注目を浴びており、文化影響力指数はトップ10に入った。
報告によると、中国は、比類ない規模のユネスコ(国連教育科学文化機関)世界遺産を擁している。同時に、革新も非常に重視しており、華為(Huawei)や小米(シャオミ)などの国内科技ブランドは、世界から広く認められている。報告では、「中国は今後、より多くの国際的な責任を担っていくことになるだろう。特に、米国政府が『アメリカ・ファースト(米国第一主義)』政策を継続しており、自由貿易や気候対策などの国際課題から日ごとに手を引いている感は否めない。中国は、ソフトパワーの発展目標を統合し、経済や軍事などの発展方向に沿わせ、世界の利益に対する長期的なコミットメントを表すことが求められるであろう」と指摘している。
米国のソフトパワーはランクダウンを続け、昨年の第3位から今年は第4位にダウンした。報告によると、昨年、国内世論調査では明らかにランクダウンしているという結果が示されたことから、今年は、客観的データにおいて、米国の評価は何とか持ちこたえられるものであることが求められていた。トランプ大統領の「アメリカ・ファースト」政策は、世界の人々から前向きな評価を得られることはなかったが、米国の教育・文化・デジタル化など、従来から優勢を保ってきた政府関係以外の指標は、引き続き世界トップクラスにある。ソフトパワーを提唱するハーバード・ケネディ・スクールのジョセフ・サミュエル・ナイ・ジュニア教授は、「今年の結果から、米国のソフトパワーがさらに分裂・変化を起こしている状況が見て取れる。トランプ政府の『アメリカ・ファースト』政策が、米国の国際影響力にマイナスをもたらしていることは間違いない」とコメントした。
今回の報告を取りまとめたポートランド社アジアGM(ジェネラルマネージャー)を務めるジョナサン・マックローリー(Jonathan McClory)氏は、「米国政府は現在、外交政策を180度転換しつつあり、多国間主義からはますます遊離し、『ゼロサム思考』に傾いている。中国がもし、協力によるウィンウィンと多国間主義の路線を貫くことができれば、米国が残した空白を埋めることが可能で、このような状況は、今まさに、中国が提唱している『一帯一路(the Belt and Road)』構想で体現されている」との見方を示した。
マックローリー氏は、「ソフトパワーは、グローバル化という今の状況のもと、外交政策を評価する上で、有効なツールとなっている。2015年に初めて報告が発表されて以降、我々は、世界における中国と米国の役割の変化を目の当たりにしてきた。中国は、より多くの国際的指導力を担うことができる潜在力を十分に備えている。中国のソフトパワーの今後の発展は、楽観的であり、かつ、極めて注目に値する」と続けた。(編集KM)
「人民網日本語版」2018年7月12日
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