日本の建築家・坂茂氏 |
「建築界のノーベル賞」とも呼ばれるプリツカー建築賞が現地時間24日に発表され、今年の受賞者に、仏北東部メッス市のポンピドーセンター分館の設計や災害被災地での支援活動で知られる、日本の建築家・坂茂(ばんしげる)氏(56)が決まった。審査委員会は授賞理由の中で、「坂茂氏の作品は新しいコンセプトに満ちているだけでなく、同様に創造性に富んだ多彩なデザイン設計を人道的な取り組みに活用してきた」とし、活動を評価した。
受賞を知った坂氏は、「今までやってきたことを続けろという意味と考え、おごらず流されずにやっていきたい」と答えている。授賞式は6月13日にオランダのアムステルダム国立博物館で行われる。
1957年に東京で生まれた建築家・坂茂氏は建築界の奇才と呼ばれ、現在、東京、パリ、ニューヨークにオフィスを構え世界的に活躍している。紙管や包装素材、コンテナなどの一般的でありふれた素材を新しい建築素材として利用することに長けている。
坂氏の作品のほとんどは創造性に富んだデザイン設計が施されている。称賛されるべきは、坂氏は構造に竹や織物、紙板、再生紙繊維、合成樹脂といった革新的かつ非伝統的な素材を使用している点だ。自然災害の被災者のための仮設住宅などにも、坂氏は通常紙管を柱、壁、はりなどに取り入れている。その理由は、これらの素材はどこでも手に入る上に、価格も安く、運送や組み立て、解体にも便利だからだ。しかも、防水、防火加工もできるし、リサイクルも可能だ。坂氏はこれについて、「日本では成長過程で、物を無駄にしてはならないと育てられる」と語っている。
同賞を主宰するハイアット財団のトム・プリツカー会長は坂さんについて、「20年以上にわたり、自然災害によって引き起こされた過酷な状況に対して創造性と質の高いデザインで応えてきた」と評価した。同時に、坂氏が紙やコンテナなどありふれた素材を創造的に活用した点を高く評価した。
受賞を知った坂氏は、パリのオフィスで取材に答え、「最後までやり遂げた後の賞だと思っていたので、本当に驚いています。今までやってきたことを続けろという意味と考え、おごらず流されずにやりたい」と語っている。