中国気象科学研究院副院長の孫小曳氏は18日、科学者とメディアの交流イベントに出席した際に、現在の霧と煙霧観測・予報について触れ、「観測時の気象条件、使用する設備、湿度のコントロールの具合により、観測された数値が実際よりも『水増し』されることがある」と述べた。人民網が伝えた。
◆霧と煙霧は別問題
張氏は、霧と煙霧の汚染における異なる作用を強調し、「大気中の乾燥煙霧質(乾燥微粒子)が一定の濃度に達し、可視度が10キロ未満となった場合に煙霧と呼ばれる。大気中の湿度が増加し、水分がPM2.5に付着し粒子が拡大され、一定の気象条件により雲霧の凝結核となり雲霧を形成し、大気中の液体の極小水滴により可視度が1キロ未満になった場合は霧と呼ばれる(可視度が1−10キロの場合は、軽度の霧と定義づけられる)」と説明した。
張氏は、「霧・煙霧の重度汚染日に、霧と煙霧は一定の気象条件のなか同時に存在し、可視度に影響する要素となる。両者は頻繁に変化し、霧と煙霧が同時に存在する時には乾燥煙霧質(煙霧など)の影響もあれば、液化極小水滴(霧など)の影響もある。例えば、多くの人は人工降雨により霧・煙霧を除去できないのかと疑問を持っているが、正常な状況であれば十分な湿度に達すれば大気中に凝結核をもたらし雲霧を形成し、最終的に雨を降らせることができる。霧・煙霧の日には凝結核が多く存在し、大気中の大量のPM2.5粒子が雲霧の凝結核になっている」と指摘した。
◆朝晩の湿度差、観測結果に影響
張氏は、「湿度が60%以上になった場合、極小煙霧質(PM2.5)などは湿度を吸収し拡大するため、湿度をコントロールできない観測機器の数値が水増しされる。なぜならその重量はPM2.5のものだけではなく、表面に付着している水も含まれるからだ。また霧・煙霧の日は、大気中の湿度が常に変化するため、観測の際に乾燥煙霧質が湿度の変化に従い変化する。朝の大気中は湿度が高く、昼は湿度が低い。異なる時間帯により煙霧質に含まれる水分の量が異なるため、湿度をコントロールできない機器は時間帯により、PM2.5の湿度付着の影響を受ける」と例を挙げて説明した。
◆中米の異なる設備、観測結果に差も
湿度変化の他に、異なる設備の使用も観測値が異なる原因の一つだ。張氏は、「観測網はそれぞれ異なる機器と原理を使い、PM2.5の観測値をリアルタイムで発表しているが、その間に差があるのは正常なことだ」と指摘した。米EPAが承認するPM2.5観測機器が採用する原理には、重量法、天秤振動法、β線測定法などがある。理論的には水分が除去された乾燥煙霧質でなければ、その時間のPM2.5の数値を正確に反映できない。観測機器は湿度をコントロールし、湿度を40−50%以下にして観測する必要がある。
張氏は、「天秤振動法でPM2.5を観測する場合、天秤振動の加熱により一部の湿度をカットできる。これは北京市環境保護局の昨年の観測データが、米国大使館より低かった原因の一つだ」と分析した。(編集YF)
「人民網日本語版」2014年3月19日