習近平国家主席は3日、韓国への公式訪問を開始した。中韓自由貿易協定(FTA)、韓国での人民元直接取引市場の開設が、中韓首脳会談の経済面の主な議題となっている。韓国政府は早くから、自国に人民元オフショアセンターを建設する意向を示していた。韓国の貿易額のうち中国との貿易額が4分の1を占める中、ドル両替による損失を回避し、韓国の外国為替市場の安定性を高めることが、焦眉の急となっている。人民元・ウォン取引センターが韓国に設立されれば、ソウルは香港、台湾、シンガポール、ロンドンなどの人民元オフショアセンターとの競争を展開することになる。環球時報が伝えた。
韓国大統領官邸・青瓦台は2日、「朴槿恵大統領は今週、習近平国家主席と協定を締結し、ウォン・人民元直接取引市場を設立する」と発表した。韓国紙・韓国経済は、「中韓両国の中央銀行、韓国企画財政部などの協議により、中国交通銀行をウォン・人民元直接取引の決済銀行に指定することが決定された。中国政府は韓国に対して800億元(1元は約16.4円)の人民元適格外国機関投資家(RQFII)投資枠を付与する。香港はこれまで2000億元、英国は800億元、台湾は500億元のRQFII投資枠を付与されており、韓国はこれを利用し中国株式市場への投資を拡大できる」と報じた。
韓国YTNテレビは2日、「中韓両国は韓国に人民元・ウォン直接取引市場を設立することで一致した。韓国企業は将来的に、中国と取引する際に米ドルに両替する必要がなくなる。昨年の中韓貿易額は2300億ドルに達し、韓国は630億ドルの貿易黒字を計上した。しかし中韓貿易における人民元決済の比率は1%未満となっている。ウォンを米ドルに両替し、これをさらに人民元に両替すると2回の手数料がかかるため、韓国企業にとって大きな負担となっている」と報じた。
「ソウル経済」は韓国の銀行界の分析を引用し、「中韓貿易で人民元とウォンを直接使用することで、企業が取引の3−5%の費用を削減できる。またドル相場によって生じるリスクも大幅に縮小できる。韓国が人民元決済銀行を指定すれば、両国間の貿易・投資が拡大することになる」と指摘した。