韓国版「西遊記」
▽韓国:孫悟空が死亡
中国の1980年代生まれの若者で小さい頃、韓国アニメ「飛べスーパーボード」を見たという人は多いだろう。三蔵法師がジープを運転し、孫悟空がヌンチャクを持って空飛ぶスケートボードに乗り、猪八戒がサングラスをかけロケット砲をかつぎ、沙悟浄がピコピコハンマーを武器にするというハチャメチャな設定。孫悟空が記憶喪失になって七十二変化の仕方を忘れてしまい、歯ブラシを持って呪文を唱えると変身できるという話にもなっていた。
韓国では、日本のアニメ「ドラゴンボール」や周星馳のシリーズ映画「大話西遊」、韓国の漫画家・許英万の「ミスター孫」などの影響で、三蔵法師と弟子たちのイメージはおなじみとなっている。1960年代には、韓国のカンフースター・朴魯植が、孫悟空を主役とした一連の冒険アクション映画に出演している。KBSテレビも1991年以来、これを題材としたアクションドラマを打ち出している。
2011年は、韓国の申東曄監督がファンタジー映画「西遊記リターンズ」を打ち出した。物語は2011年のソウルで起こる。工事現場で見つかったひょうたんの封印を開けてしまったために、邪悪な勢力が目を覚まして人間に災いをもたらした。そこで科学者らがDNA技術で孫悟空一行を復活させる。劇中、よみがえった牛魔王や金角・銀角大王、白骨夫人らの妖怪は、三蔵法師の肉を食うという願いはよそに、ウイルスを作って地球の破壊を企むという設定になっている。牛魔王はもともとの相手である鉄扇公主のことは忘れてしまい、白骨夫人とこそこそ話している。女性になった三蔵法師はハイヒールをはき、孫悟空と恋に落ちる。最も驚かされるのは、映画の最後で孫悟空が死んでしまうことだ。