住宅が密集する神奈川県横浜市西区のあるコミュニティの自治会長は、「このコミュニティは10年前から空き家が続出するようになった。ここは坂道が多く、道路が狭く、大きな車が通れない道もあり、建て替えようにも、売却も賃貸も難しいため、多くの所有者が建て替えを諦め、家は放って置かれるようになった」と話す。
東京都大田区でも空き家問題が起きている。今年5月、区内の木造戸建て住宅数戸に倒壊の危険があり、通行人に危害が及ぶ可能性があることがわかった。所有者がわからず、手を打つことができないため、区役所は気をもむばかりだ。
▽条例制定で空き家に対応
空き家は管理が不十分なため、都市の景観に影響するし、犯罪率の増加にもつながる。火災や倒壊などで負傷者を出す可能性もあり、地方自治体はさまざまな措置を取ってこれに対処している。
国土交通省がまとめたデータによると、今年4月1日現在、和歌山県と全国の市区町村355カ所が、空き家の管理条例を制定しており、このうち184カ所は条例の中に「行政代執行」の条項を設定している。
秋田県大仙市には2013年末、積雪や台風で倒壊の危険がある空き家が1415戸あり、非常に危ないとされた。そこで同市は「大仙市空き家等の適正管理に関する条例」を制定し、経済的に困難を抱えた空き家の所有者に対し取り壊し費用を補助する、または行政代執行を実施することを決定した。行政代執行とは、行政部門が強制的に取り壊しを行うことをいう。同市はこれまでに放置住宅の所有者33人に補助金を支給し、3戸に対し行政代執行を実施した。
空き家問題に長らく取り組んできた富士通総研の米山秀隆上席主任研究員は、「何らかの措置を取って、新築住宅の増加を抑制し、空き家を早急に取り壊さなければ、日本の空き家はさらに増加し、都市の景観、防災、犯罪率の上昇抑制のいずれにとってもマイナスの影響を与える」と指摘する。(編集KS)
「人民網日本語版」2014年8月4日