第三に、中国には高速鉄道の建設と運営に成功している実績がある。「中国は土地が広大で、地理・気候などの環境は土地ごとに複雑に異なっている。中国がこのような異なる地理環境の下、巨大な高速鉄道網の建設と運営に成功したことは、中国の高速鉄道技術の成熟度と安全性を全世界に示している」と李天国氏は指摘する。「中国は高速鉄道分野の後発国なので、技術はすでに成熟しているものの、技術の研究開発の時間が長くないために、中国の高速鉄道技術に対する国際社会の認識が追い付いていない」
▽「ゼロコスト」は宣伝戦略
日本が打ち出した「ゼロコスト」は、日本の高速鉄道が価格面で優位に立っていることを意味してはいないか。
薛旭氏はこれについて、「日本は本土の産業のための国際市場開拓を焦っており、これによって国内の関連企業の生産回復が進むことを望んでいる。だが日本の財政の現状とその動向から見て、価格競争が始まれば、日本財政はさらなる圧力にさらされることになる。このため、日本のいわゆるゼロコストは宣伝戦略の一環にすぎないと考えられる」との見方を示した。
このことは、日本政府が7月25日に行った経済財政諮問会議で発表された推計データからも見て取れる。少なく見積もっても、日本の中央政府と地方政府は2020年度、11兆円の財政赤字に直面することになる。
5年後に訪れるこの困難を和らげるため、日本政府は、2015年度に財政赤字を2010年度の半分に減らし、2020年度には赤字から脱する目標を提出した。消費税の2回にわたる引き上げは、財政赤字を補填するための最大の切り札となる。だが2020年に日本が巨額の赤字にさらされていることは必至だ。
▽中国を選ぶ戦略的意義
これらのほかにも、ASEANの高速鉄道建設に中国が参加することにはさらに深い意義がある。
李天国氏によると、ASEANの多くの国々と中国とはこの地域で共通する経済的・政治的利益を持っている。「『21世紀の海上シルクロード』の重要な通り道として、ASEANの物流網の発展は、中国とASEANの間のさらに緊密な経済貿易協力を推進するものとなる」
薛旭氏も同様の見方をしている。ASEANの多くの国々は中国と国境を接しており、中国との高速鉄道分野での協力は、物流と運輸の効果を大きく高める働きを持っている。
薛旭氏はさらにこう指摘する。「中国の物流の発展は成熟度を増している。東南アジア諸国が高速鉄道を発展させる最終的な目的は、経済利益を高めることにある。多国間の貿易を成長させるには、ほかの国々との交通を発展させる必要がある。シンガポールを例に取れば、もし高速鉄道ができれば、航空運輸の経済的な圧力を大きく緩和することができる」。
薛旭氏はさらに進めて、「中国とASEAN諸国は、『市場を技術と取り替える』という方式を取り、一部の中国市場を開放することも考えられる。日本の口先の『ゼロコスト』よりも大きな利益を上げることができるはずだ」と指摘した。(編集MA)
「人民網日本語版」2014年10月13日
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