国務院弁公庁がこのほど発表した「輸入強化に関する若干の意見」では、中国(上海)自由貿易試験区で自動車の並行輸入の試行を先行して実施することが明確に提起された。上海自由貿易区の担当者は、並行輸入の試行に関する方案を策定中であることを明らかにした。人民日報が伝えた。
▽世界各国で実施される並行輸入
自動車の並行輸入は世界各国で実施されている。自動車メーカーに新たな販売ルートを提供し、メーカーの知的財産権の利益を最大化することが目的だ。通常、自動車を輸入する場合は、所在国にあるメーカーの総代理店を通さなければならない。並行輸入車とは、メーカーや中国の総代理店からの権限・許可を受けずに輸入された、中国市場向けに設計・生産されたものとは限らない自動車のことで、業界内では「灰色の輸入車」と呼ばれている。
中国が並行輸入を許可するべきかどうかについて、政府部門、業界、社会では長期にわたり議論が行われてきた。今回の「意見」の中で、上海自由貿易区での並行輸入が許可されたことは大きな進展と言える。
国家工商総局は今年10月1日より、メーカーの総代理店や公認ディーラーの登録を正式に停止した。これは並行輸入の合法化に向けた基盤になると見られている。
工商総局が「意見」を発表する前、並行輸入は「グレーゾーン」に属していた。中国の独占禁止法実施が進むにつれ、公認ディーラーを通じた販売モデルは各方面から非難を浴びるようになった。今年8月、上海市は自由貿易試験区内で「自動車並行輸入」の試行を実施することを発表した。
▽「ディーラー車より20%安い」は理論上の数字
現在、一部の輸入高級車の末端価格は生産者販売価格の3.5倍にまで達している。自動車の並行輸入が許可されれば、消費者にどれほどの実益がもたらされるのだろうか?
噂によれば、並行輸入車の価格は現在のディーラー車より15-30%安くなるという。20%前後安くなるとの見積もりもある。業界関係者は、「並行輸入は輸入車の販売に新たなルートを切り開き、独占による暴利を防ぐのに役立つ。並行輸入が実施されれば、『ナマズ効果(Catfish Effect:新たな刺激によって既存の組織が活性化する)』がもたらされ、市場の自己調整を通じて輸入車価格が新たなバランスを実現する。しかし、一体どれだけ安くなるかについてはまだ多くの不確定要素が残されている」と指摘する。