お弁当で伝える幸福
吉井さんの夫はいつも「愛妻弁当」食べでおり、周りの友人らに羨ましがられているという。それを知った吉井さんは、豆瓣にその弁当のメニューを投稿し、今年10月にはそれをまとめた「四季の弁当」を出版した。
ネット通販アマゾンで同本を購入した購入者は、「シンプルな言葉、きれいな写真、簡単な食材。それら全てに愛と生活感があふれている」とコメントしている。
吉井さんが作る料理一つ一つには、たくさんの思い出も詰まっている。例えば、お父さんが作ってくれたお好み焼き。大学入試前に、勉強しながら漫画も読んでいた夜、お母さんが差し入れしてくれた焼きおにぎり。働き始め、節約のために自分で作ったサンドイッチ……などだ。「お弁当を作っている時、自然と子供の頃の思い出がよみがえる。日本の実家の台所には、昔使っていた弁当箱や台所用品がある。帰国した時にそれらを見ても、子供の頃を思い出す」。
また、いろんな料理を作っている時に、感傷に浸ることもある。子供の頃、大好きなお母さんと一緒に海の近くにあるおばあちゃんの家に行き、唐揚げを買って食べた。そのおばあちゃんは既に亡くなり、お母さんも癌と戦っている。大学時代、将来が不安になり、思いつきで名古屋に行って映画を見、帰る途中に名古屋名物の手羽先唐揚げを食べた。あの頃の行動力や体力はもうない。
「中国と日本では文化が異なるとしても、若者の孤独や未熟さ、母親の子供に対する関心、寡黙な父親の家族に対する愛、仕事上のストレス、人間関係など、生活の中で感じる思いや幸せなどは、中国の人にも分かってもらえるはず。それを共有し、共感を覚えてもらいたい」。(編集KN)
「人民網日本語版」2014年12月18日