2014年12月14日の衆院選で、政権与党の自公両党の議席数は衆議院の3分の2以上を占めた。これは安倍政権にとって非常に有利だ。しかし安倍政権の新年の先行きは不明瞭で、多くの災いを控えている。
安倍政権がまず直面するのは、日本経済の「新常態」だ。2014年4月に消費税を8%に引き上げると、経済が2四半期連続でマイナス成長となり、国内の消費が低迷し、輸出が停滞した。2014年1−5月、1−10月の輸出額は、前年同期を下回った。安倍政権は円安を推進すると同時に、3兆5000億円規模の景気刺激策を打ち出し、2015年の経済成長を促そうとしている。しかし日本は高齢化社会に突入しており、労働力が不足し、生産効率が低下している。日本は経済の重心を生産・輸出拡大から、消費・輸入促進に置き直さなければならない。しかし円安は構造調整の強い抵抗力になる。
次に、日本では貧富の格差が拡大している。日銀が円安を推進した目的は、日本を20年間のデフレから脱却させ、2%の物価上昇を実現し、経済成長を促進することだ。しかし円安の副作用が増加し、貧富の格差が拡大し、社会の矛盾が表面化している。海外から「為替相場の操作」、「隣国を敵とする」といった強い批判を浴びたほか、国民からも厳しく批判されている。円安により物価が上昇し、これに消費増税が加わったことで、サラリーマンの実質賃金は増加するばかりか減少した。統計データによると、2014年10月末までに円安により倒産した企業が259社に達し、前年同期比1.8倍となった。日銀が円安を推進し続ければ、生活の望みを失う家庭や中小企業と安倍政権の対立が激化する。しかしながら、日銀が円安推進をやめた場合、金利が上昇し、日銀もジレンマに陥ることになる。
それから、財政が残した災いの元に直面しなければならない。安倍政権は消費税を10%に引き上げる時期を2017年4月に延期したが、これは未来の財政健全化に災いの元を残した。増税先送りの前提は、2015年の財政赤字を2010年の半分に削減することで、これが実現できなければ2020年の財政黒字化は実現不可能だ。2015年に半分に削減するという目標が実現できなければ、すべては机上の空論になる。これは安倍首相の新政権が直面している最大の難関で、2015年9月に自民党総裁選に勝利できるか否かに直接影響してくる。