自動車産業に詳しい専門家の趙岩氏によると、労働力コストの上昇は原因の一部にすぎず、外資企業の撤退や再配置の最大の原因は、中国経済が「新常態」(ニューノーマル)を迎えたことにある。2015年冬季ダボス会議では、西側の経済学者らが、中国の30年余りの改革開放の中で、過去10年は経済の急成長が維持されていたのに対し、現在は経済の転換と痛みに直面していることに憂慮を示した。彼らは2015年から2025年までの中国経済の平均成長率は4%から5.5%となるだろうとの見込みを示した。
国家統計局が1月に発表した経済データによると、中国の2014年のGDP成長率は7.4%で、予想値は上回ったものの、24年ぶりの低さとなった。2013年のGDP成長率は7.7%だった。
▽まだ大きなパイ 一部では対中投資増加も
「以前、とりわけ改革開放初期には、外資企業は投資なしには中国市場に入ることができなかった。だが現在は状況が異なり、中国の対外開放度はすでに非常に高いレベルに達した。周辺国で加工し、これを再び中国に運んでくるという方式の実現は可能だ」と高輝清室長は語る。
だが既製服や玩具、電子機器と比べると、自動車産業は製造業の中でも特殊性を持っている。取材を受けた専門家の多くは、国外の自動車メーカーが近い将来に中国を撤退することはなく、引き続き投資を増やしていくと見ている。
清華大学自動車技術研究院の宋健院長は、中国の自動車市場はこれからも安定した成長を保持していくものと見ている。数年前までの2ケタ成長は無理だとしても、国内の自動車市場の見通しは比較的明るい。販売台数は2020年に3000万台、2025年には4000万台に達するという推算もある。
トヨタは2014年、新車の発売に引っ張られて小型車の売り上げが成長し、これまで目標としながら果たせなかった年間販売台数100万台突破をついに実現した。だが国内で成長が最も著しいSUVやMPVなどの市場では、トヨタの市場シェアはここ数年で最低に落ち込んでいる。
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