フォーラム創設当初のねらいは、権力や財産がアジアへの移行を背景に、アジア諸国の協力をはかる集団プラットフォームを構築することにあった。世界経済の回復がまだおぼつかない現在、アジアの経済成長率は依然として世界をリードしているものの、今後の発展には不確定性が高まっている。また中国経済の発展が構造調整の入り口にさしかかり、「新常態」(ニューノーマル)に突入したことは、ボアオ・フォーラムに新たな要求を突き付けており、自らの転換によって情勢変化に対応する必要がある。
遅院長は、このような変化はボアオ・フォーラムの議事日程にも表れているとし、次の4つの変化を挙げた。
第一に、中国経済の「新常態」突入後、「1ベルト、1ロード」(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)戦略構想とアジア一体化プロセスの加速を受け、フォーラムの影響力がアジアから世界へと広がりつつある。
第二に、フォーラムの議題が地域の問題から世界の問題へと次第に移行し、アジアの主張をさらに広い範囲へと伝え始めている。
第三に、サブフォーラムの数が当初のいくつから数十へと増え、議題の範囲も広がっている。農業や宗教、インターネットなどが新たなトピックとなり、中国の成長戦略の転換や改革も注目点となりつつある。
第四に、政策決定に対するシンクタンクの役割がさらに重視されるようになり、影響力も高まっている。
「中国経済の成長率は減速していると見られるものの、地域の経済協力に対してボアオ・フォーラムと中国が果たす役割はより積極的なものとなっている」と王室長は指摘する。14年前のフォーラム創設時、中国が念頭に置いていたのは、アジア協力のプラットフォームを作るために各国が集まって協議することだった。14年が経った今、外部環境には変化が生じ、実力を高めた中国がアジアの協力を引っ張るようになった。「中国はコンセプトと投資によって他国の支援と参加を求め、アジア及びさらに広範な地域の繁栄を各国とともに促進していく」(編集MA)
「人民網日本語版」2015年3月25日