■花見は、日本最大の集団イベント
桜は日本の集団文化の象徴である。そのため、花見はほぼすべての日本人が参加する日本最大の集団イベントと化している。この列島の津々浦々に住む膨大な数の人々が移動する中、花見を心の底から楽しむ鑑賞イベントにしようと思えば、日本人の「集団性の秩序」や「習慣となった花見のルール」に反して実現させることは難しい。もちろん、花見のルールが全員同じであるわけではないが、一般的な日本人が守るべきだと考えているルールは以下の通りだ。
1. 桜は美しい生命であり、絶対に枝を折ってはならない。一般の日本人は桜の木の根を傷つけないようにと、自分たちが座るイスやビニールシートなども桜の根元に置かないように気を付けている。
2. 美と人の行動は密接につながっている。花見をする際のルールとして、自分が出したゴミは家に持ち帰ること。日本人は桜の季節の美しく幻想的な世界がゴミによって汚されてしまうことを非常に嫌っている。
3. 花見をする際、お互いに尊重し、譲り合うことで、和やかな雰囲気になる。それによって、花の美しさを堪能し、お互いに感応し合える。場所取りではなるべく場所を控えめに確保し、鑑賞時間を短めにし、多くの人と一緒に美しい景色を共有できるようにする。
4. 日本人は、夜桜を鑑賞するのが好きだ。朧月や闇にぼうっと光る幻想的な花、花の色に染まった月、見え隠れする美、夜桜を見ていると、まるで心が夢の世界と夜の闇の境界を漂っているように感じる。しかし、その場がうるさかったとしたらどうだろう。近所の住民に迷惑がかかるだけでなく、夜の風や桜の花の静かな囁きを聞きに来た人々の迷惑にもなる。このため、花見には静けさに満ちた空間が最も重要となる。他人のことを考え、幻想的な美を鑑賞するためにも騒音を出さないように気を付けたい。
このように桜の花は日本の集団文化の象徴であり、それぞれの花びらが連なり、寄り添い合うことで、全体として見ると、川が海に流れ込むように、あらゆる場所で咲き誇る壮大な風景となる。現代の都市や景色の中で見られる桜の美しさは、このように古代より綿々と続いてきたものだ。そして、これは日本人の桜の花を慈しむ心から生まれたものであり、集団精神のルールと何世代にもわたる保護によって形成されてきたものだ。