ビナイ副大統領の発言は思いがけないものでは決してない。背景を見るとビナイ副大統領はベテラン政治家で、国を指導する志があり、国の発展について真剣に考えている。フィリピン国内での影響力も大きい。フィリピンの大統領は憲法の規定で有権者の直接選挙によって選ばれる。任期は6年で、再選再任は認められない。2010年6月に当選したアキノ大統領は来年任期を終える。ビナイ副大統領は次期大統領選の有力候補であり、選挙で圧倒的勝利を収めるとの見方が少なくない。
ビナイ副大統領の発言に大統領選勝利につなげる考えがあるかも知れないのは確かだが、いずれにしても南中国海問題の処理において客観的姿勢の人物はプラスの評価をより得やすい。実際、現政府のやり方にフィリピン国内では疑問の声が上がっている。一部の国民やエリートは、中国との関係悪化がフィリピンの長期的利益を損なうことを懸念しているし、係争が制御不能となった場合の悪い結果にフィリピンが耐えるのは困難だ。アキノ大統領は米国の応援を引き出して南中国海で中国と対抗しているが、フィリピン国内には米軍との軍事関係の強化に対する抵抗感があり、米中両大国の「力比べ」に巻き込まれ、板挟みになることを望んでいない。あるフィリピンの学者は米外交専門誌「ナショナル・インタレスト」電子版に、ビナイ副大統領が実務的姿勢を示し、就任後中国との緊張を緩和することを期待する文章を発表した。
事実が証明するように、国家間に溝や摩擦が存在することは避けがたく、いかにして有効にコントロールし、最終的に解消するかが肝要だ。南中国海係争のために国家間の正常な付き合いが妨げられるべきではなく、ましてや地域の安定の大局に影響が生じるべきではない。
無責任な発言は一見居丈高に見えるが、結局は試練に耐えられない。理性的な声がもっとあってこそ、南中国海問題をうまく処理することができる。(編集NA)
「人民網日本語版」2015年4月17日