15年前、広東省仏山市で1台目のロボットが「仕事」を開始した。このロボットは中国国内で初めて実験室から工場に導入されたロボットで、その仕事はサニタリー業界のセラミック製品の塗装だった。それから15年が経った今年、香港のエレクトロニクスイベントに米国企業が開発したヒューマノイド型ロボット「ハム(HAM)」が出展された。ハムは、相手の表情を識別し、それに合わせて自分の表情を変えることができる。そのリアルな表情は、大きな話題となった。経済日報が伝えた。
市場の需要は、ロボット普及のバロメータだ。賽迪顧問股份(株式)有限公司(CCIDコンサルティング)の李樹翀総裁は、「中国のロボットはこれまで、電子製造、自動車製造など精密製造の分野で急速に発展し続けてきたが、今や繊維・織物、石油化学などの労働集約型の業界でも急速に普及している。家電、電車・地下鉄、船舶といった伝統的な市場もロボット応用の中心地になりつつある」と語る。
▽ロボットの導入が常態化
製造業企業がひしめく広東省仏山市では、6つの主なタイプの産業用ロボットを含む約3500台のロボットたちが、120あまりの工場の生産ラインで働いている。
全国で労働投入量が最も多い地域のひとつである珠江デルタでは、製造業が真っ先にロボットを大量導入し始めた。これに伴い、珠江デルタの各都市も、産業用ロボットの導入を支援する政策を相次いで打ち出した。広東省はこのほど、2015年から2017年の3年間で、一定規模以上の工業企業(年売上高2000万元以上の企業)1950社にロボットを導入することを宣言、大手企業で「スマート工場育成建設」の試行を行うほか、3年間で9430億元(1元は約19.3円)を投入し、産業技術改造に取り組む方針だ。
「人の代わりにロボットを導入」する主な原因となるのは、人件費の高騰だ。中国の人口メリットは徐々に失われつつある。改革開放初期には毎年1000万人あまりの労働力が誕生していたが、今後は総人口が変わらないという前提であれば、年間300~500万人の労働力が減少するというのが中長期の見通しとなっている。そのため、規模が大きく、労働力の需要が大きい産業では、ロボット導入は必然的な情勢となっている。