天津大学の張浩教授(36)が16日、科学技術会議への出席のために米国へ入国しようとしたところ、ロサンゼルス国際空港で産業スパイ容疑で身柄を拘束された。米司法省は19日、張教授など天津大学の教授3人を含む、中国人6人を、機密性が高い無線通信技術を盗んだとして、産業スパイの罪で起訴したと発表した。6人は、同技術を中国の大学や政府の統制下にある企業に提供したとされている。環球時報が報じた。
起訴状では、6人は、産業スパイ容疑など32件の訴因が記載されている。他の5人は中国国内にいるとみられ、米国は国際手配している。
起訴状によると、張教授は龐慰教授(35)と、南カリフォルニア大学大学院で、博士課程に在籍していた際知り合った。二人の専門は声学技術研究で、米国防総省の委託研究に従事していた。その後、2006年に博士号を取得した後、龐教授は、コロラド州のアバゴ・テクノロジーで、張教授はマサチューセッツ州のスカイワークス・ソリューションズで、それぞれ技術者として働き、その間に商業情報を盗んだとされている。
2人が盗んだとされるのは、広帯域信号から特定の周波数の信号を抽出するための「圧電薄膜共振器」(FBAR)の製造技術。主に携帯やその他の通信機器に使われ、通話の質を向上させることができる。その他、軍事や国防の分野にも応用される。
起訴状によると、龐教授は06年に、中国の関連の部門にメールを送り、米国で盗んだ商業機密を利用して、中国でFBAR技術生産基地を立ち上げることを話し合っていた。メールでは、同技術を利用すると、携帯市場だけでも年間10億ドル(約1200億円)の価値が出ると言及していた。