さらに不可解な事例もある。ソウルの医師が、MERSの症状を呈した後、検査を受けることなく、そのまま仕事をつづけ、大型会議にも出席した。ソウル当局の担当者によると、この医師を介してMERSに感染した可能性がある人は、1500人を下らないという。
医師でさえこんなにお粗末な状態だ。ましてや一般の人々はどんな様子なのだろう?たとえば、ソウルに住む韓国人婦人は、在宅隔離対象となった。家にいても暇でつまらないため、なんと彼女は十数人の友人と約束してゴルフに出かけてしまったのだ。現地の衛生部門が彼女に電話を掛けたが、つながらなかった。警察はGPSで追跡し、同日午後7時半ごろ、全羅北道の某ゴルフクラブにいた本人をようやく発見し、ソウルに連れ戻した。
広東で先月末に確認された中国国内初のMERS患者については、本人の父親と妹は韓国で感染が確認されていた。本人も発熱症状を呈していたが、医師の忠告を聴くことなく中国への出張を断行した。香港入国時、検疫係員には、「MERS患者に接触したことはない」と偽っていた。日本のメディア報道によると、この患者が搭乗した韓国アシアナ航空機は、消毒処理がなされないまま、ソウルから名古屋に向かって運航、3日目の未明にようやく消毒処理が行われた。
韓国での感染拡大は、日本のメディアに大々的に取り上げられ、それによって日本人はかなり憂慮の念を抱いた。もともと外国人排斥ムードが高い日本の匿名掲示板「2ちゃんねる」には、関連報道をめぐる投稿が数千件にのぼった。「日本に入国しようとする韓国人患者は、日本人にウイルスを感染させれば英雄になれる」「韓国産キャベツを売る大型小売店がある。日本市場に出回っているサラダにくれぐれもご注意を」など、そのほぼ全てが、韓国を嘲笑するような内容だった。