〇2つのOEMモデル:華麗なる冒険
数十年前以来、トップレベルのチップ製造技術を掌握していたメーカーは、業界内で極めて少数だった。これらの企業間にも、明らかなレベルの差があった。
業界大手のインテルは、その能力は最強だったが、自社工場は他者にオープンではなかった。インテル以外では、チップ製造技術が最も高い2社といえば、台湾TSMCと韓国サムスンで、それぞれに長所と短所があった。
OEM(相手先ブランド製造)企業という点では、TSMCのレベルはインテルに次ぐが、あらゆる新技術の開発状況は常に、半年から1年、計画より遅れていた。サムスンの技術レベルは急成長したが、生産力は大幅な拡大が見られず、大量注文の需要を満たすことはできなかった。
このような状況下で、問題は起こった。OEM工場を1社に限定すれば、全ての受注に対応することはできず、製品の供給不足という事態に陥る。世界市場でアップルの新スマートフォンの需要をまかなうためには、生産力のキャパシティ拡大が必要であり、生産の資質を備えた複数のOEM工場を確保しなければならない。ここから、異なるチップ製造技術によってもたらされる「微差」というリスクが生じることは阻止できない。
今回、アップルは後者の道を選んだ。これまで数年間、アップルはサムスン1社のみにチップのOEM製造を委託していた。だが、A8チップ世代に入り、価格面で高い競争力を備えたTSMCが、アップルからの大量受注を果たしたのだ。
OEM工場間の技術レベルの違いから、チップの性能、面積、バッテリー消耗などはいずれも、製造する工場によって差が生じる。各指標が軒並み同じレベルのチップを製造することをOEM2社に求めることは、極めて難しい。このことも、今回の「チップ」騒ぎの直接の原因となった。
この騒ぎの前、ごく一部のiPhone 6 Plus で、iSight 後置カメラのコンポーネントの一部が故障し、撮影した写真が鮮明に見えないという不都合が生じることが判明、アップルは無償交換を行うと発表した。また、2014年8月、一部のiPhone 5で、バッテリー駆動時間が急に短くなる、または頻繁に充電が必要となるという問題が発生し、無償交換プログラムを実施した。(編集KM)
「人民網日本語版」2015年10月16日