北京の日本文化センターで16日、日本の作家の壺井栄氏の小説「二十四の瞳」の中国語翻訳版読書会が行われ、作家の止庵氏や脚本家の史航氏が自身の経験も交え、参加者たちとこの戦時下における先生と生徒たちの心温まる物語について語り合った。国際在線が伝えた。
「二十四の瞳」は小学校教師の大石先生と12人の教え子たちによる、人情味あふれる物語で、大石先生のモダンな服装と行動スタイルが、小さな漁村の12人の子供たちに外の世界を知らしめ、次第に普通の先生と生徒の関係から兄弟姉妹に近い感情が生まれていく。しかしそんなすばらしい日々もついには戦争によって破壊されてしまう。長い月日を経て再会を果たしたが、残されていたのは当時の温かな情景の一幕一幕だけだった。
小説は繊細なタッチで都会の喧騒を離れた漁村、青い海に囲まれた小さな島、春の光に包まれた桜並木、笑顔が優しい大石先生、12人のあどけない生徒たちが描かれている。プロットに大きな展開は無いものの、淡々とした日常が細やかに描かれている。脚本家の史航氏は、この作品は平凡でありながら人生に欠かせない白米のような作品であるとし、作家の止庵氏は、この作品は非ドラマチックな美しさをもっており、それは普通の人々の日常生活のように容易に自分の記憶と重なり、共感を得られるとした。