米連邦準備制度理事会(FRB)が今月17日に基準金利を0.25ポイント引き上げることを発表し、7年続いたゼロ金利時代が終わると、世界の資産価値体系に甚大な影響を与えることになった。不動産コンサルティング大手DTZがこのほど発表した最新の研究報告書によると、米ドルが利上げ周期に入ったことにより、中国に与える最も直接的な影響としては、人民元の値下がりと人民元建て資産の目減りが挙げられる。短期的にみて、中国には著しい資金流出現象が起こることが予想されるという。
国際的視野をもった投資家にとって、海外での不動産購入は人民元値下がりのリスクヘッジとなる重要な投資方法だ。不動産総合サービスのジョーンズラングラサールが発表した調査研究報告書では、2013年の中国の不動産投資の海外市場における投資額は113億ドル(1ドルは約120.4円)、14年は46%増加して165億ドルになったという。中国不動産業協会の劉志峰会長は、「2015年には中国の不動産企業の海外投資額が250億ドルを超えて、過去最高を更新するかもしれない」と予想する。
最近の海外進出ラッシュにおいて、気候が温暖な東南アジアの国・マレーシアが、ここ数年は中国の不動産購入者が競って物件を購入する人気の場所になっている。これまでにマレーシアで土地を取得して開発を行った中国の不動産企業には、雅居楽、緑地、新華聯、富力地産、碧桂園などがあり、投資総額は数千億元に達する。不動産大手の相次ぐ進出から、マレーシアにおける中国人の不動産購入ラッシュがさらに温度上昇することが予想される。
複数の海外不動産業の専門家が、「中国人投資家がマレーシアを好むのは、不動産価格が安いこと、法律体系が整っていること、移民のハードルが低いことと無関係ではない」との見方を示す。