▽衰退の原因は時代とのずれ
1990年代以降、中国と韓国で製造された家電製品が、低価格や日本製品と大差ない機能で台頭し、日本製品の優位は崩れた。こうして日本家電産業は下り坂にさしかかった。
国外での熾烈な競争が日本家電メーカーの衰退の重要な原因ではあるが、日本の専門家の多くは、「真の問題はやはり日本企業自身にある」との見方を示す。前出の井村教授は、「経営モデルと製品のバージョンアップが世界の流れと合わなくなり、日本の家電メーカーは経営危機に直面するようになった」との見方を示す。
日本の大企業のリーダーは第二次世界大戦後に成人した人が多く、やる気と奉仕の精神に満ちているが、改革革新の力や新しい物事を学習し吸収する力が不足している。彼らの多くが既存のモデルに従うことを好み、世界の流れを理解しよう、新しい物事を学習しようとする人は少ない。50代や60代の上層部でパソコンを使いこなせない人も大勢いる。
日本企業はこれまでずっと「終身雇用」と「年功序列」の雇用スタイルを採用し、1つの会社に退職するまでずっといて、賃金上昇は基本的に年齢に基づくというのが一般的だった。企業は社員の革新や積極性を重視せず、制限することさえあった。上司が部下を率いて業務を完了させるのであり、部下は指示に従うだけでよかった。リーダーの方針決定が正しければみんなが利益を受けるが、決定を誤ればみんなが困った羽目に陥った。
日進月歩の現代にあって、日本企業はこれまでのやり方にとどまり、革新が不足している。その結果は容易に想像できる。