▽未来は家電以外にある
日本企業の多くは生き残りをかけて事業の一部を売却し始めており、資力と勢力を優勢産業に集中させてこれを守り抜き、難関を乗り越えようとしている。家電事業を素早く切り離した後、日立、パナソニック、NECなどのメーカーはモデル転換を達成した。
日立は09年に危機に直面すると、事業を調整して社会インフラと情報技術(IT)の融合に活路を見いだした。日立ブランド・コミュニケーション本部の溝口健一郎宣伝部長は、「日立は発電、鉄道、通信の分野での製造に強みがあり、IT分野でも長年の蓄積がある。両者の融合により、たとえば同じ鉄道プロジェクトであっても、日立は車両と信号設備だけでなく、運営コントロールシステムも提供できる」と話す。両者の融合の道を歩み始めた日立は、英国で1兆円規模の鉄道プロジェクトを獲得している。
パナソニックはここ数年、自動車部品、住宅設備などへの投資を拡大している。東京にあるショールームをのぞくと、パナソニックがITの利用に一層の力を入れていることがわかる。室内のエアコン、加湿器、音響設備が1つのシステムを形成し、スマートホームがうち出されている。理美容家電など小型家電の開発も行い、洗濯機やテレビといった大型家電の空白を埋めている。
東芝の上層部は、「2016年以降、東芝は事業を半導体、発電、エレベーターの3分野に集中させる」と話す。家電と医療事業を切り離し、身軽になって新たな戦いに挑むという。
日立は融合の道を歩み始めた後の15年に、ここ数年で最高の利益を上げた。パナソニックは家電事業が日本と欧米で成功を収め、今後は発展のため、新たに開拓した自動車と電気機械システムなどの分野に力を入れるという。東芝はエレベーター事業とメモリチップ製造で利益を確保しており、長期的には電力分野の開拓で発展をはかるとみられる。
今後、家の中にある日本製電化製品はますます少なくなるとみられるが、パナソニックや東芝などの日本ブランドが消滅することはあり得ない。こうしたブランドは家電以外に新たな生存の空間や利益獲得の可能性を見いだしたのだ。(編集KS)
「人民網日本語版」2016年4月15日