中国科学院半導体研究所超格子国家重点実験室の沈国震研究員が率いるチームはこのほど、中国人民解放軍総病院の姜凱教授と協力し、グラフェン材料に基づく新型柔軟触覚センサーを開発、人間の皮膚に似た機能を実現した。微小圧力の変化などを直ちに感知することができ、軍事・医療・健康などの分野で活用可能だ。中国科学報が伝えた。
◆人の感覚より敏感
電子皮膚・新型ウェアラブル柔軟触覚センサーは、人間の触覚に似た感知機能を実現する人工柔軟電子部品だ。
沈氏は、「人間の肌と同じく柔軟性を持ち、曲げたり変形させることができる。人間の触覚に似た機能を実現できる。羽毛のように軽く、米粒のように小さな物体が表面につくことによって生じる触覚もはっきりと感知し、かつ迅速に反応する」と説明した。
人の肌が触覚を感知し反応する時間は30−50ミリ秒だが、同部品は5ミリ秒のみ。敏感度は15.6kPa-1に達し、10万回以上繰り返し使用できる。これらのデータを見ると、電子皮膚の「感覚」は人間に劣らないと言える。
◆普及には時間も
人工電子皮膚はウェアラブルデバイスの一種であり、その研究と開発は各学科の研究者から重視されている。研究の推進に伴い、超軽量・高柔軟性・低抵抗率などの特長を持つグラフェン、カーボンナノチューブ、導電性ポリマーなどの特殊材料は、電子皮膚の優れた材料とみなされるようになった。姜氏は、「この電子皮膚はすでに、脈拍や音声など人体の生理信号のリアルタイム・クイック測定を実現するため、医療に応用されている」と話した。
姜氏は、「多くの火傷患者、肢切断者、整形手術の患者に対して、触覚を持つ人工皮膚は大きなメリットをもたらす」と述べた。
沈氏は、「しかし人工皮膚は現在、主に医療に用いられており、コストも割高なことから、その他の分野への普及には時間がかかる」と認めた。(編集YF)
「人民網日本語版」2016年5月5日