王さんが住む洞穴は、入り口は幅1メートル、高さ1.5メートルほど。中に入ると、湿っぽい空気が真正面から漂ってきた。中は真っ暗で、外が晴天でなければ、一筋の光もない状態だ。中の広さは十数平方メートル、時折、壁に水がポタポタと垂れている。彫像が一つ置かれているほか、中にあるのは一枚の木の板のみ、その上の布団は古くてボロボロ。これが彼のベッドと寝具だ。
普段、王さんは日常生活を楽しみ、進んで人助けをしている。雪が降ると、彼は雪かきにいそしむ。山道で地滑りや壊れた場所があれば、自ら進んで修理する。これらの作業を、彼は黙って行うのが常だ。
昨年5月、土砂降りの雨が降り、王さんが山道を急いでいると、ある人が誤って深さ十数メートルの断崖の窪みに落ち込んでいるのを見つけた。その人は骨折しており、周りにいた9人は、誰も下に降りて彼を助ける勇気がなかった。王さんは、手で岩石によじ登り、断崖の下に降りていった。自分も落下するかもしれないという危険も顧みず、その人を救出した。
その後、助けられた人は王さんと友達になり、たびたび王さんに生活物資を届けてくれた。王さんが助けた人が増えるにつれて、他の友人も増え、王さんはもはや食べ物の心配をする必要はなくなった。彼は修行に専念することができるようになった。携帯電話はもっているが、時刻を確認するだけで、外界と連絡を取り合うことはない。彼は外の世界に煩わされることが嫌で、俗世から隔離された修行者であり続けたいのだ。(編集KM)
「人民網日本語版」2016年6月21日
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